研究課題/領域番号 |
23K04668
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
藤原 亮正 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10580334)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | D-アミノ酸 / 分子認識 / 水和 / 化学進化 / 分子雲 |
研究開始時の研究の概要 |
イオンチャネル機能に関係し、生体分子の構造ゆらぎのプローブ分子としても用いられるトリプトファンの分子認識能に着目する。芳香族アミノ酸は星間分子雲で生成しても紫外光の吸収で壊れてしまうため、地球外物質から検出するのが非常に困難である。本研究では、研究室での実験研究という特徴を活かし、分子雲で生成して紫外光で壊れるけど、分子認識の痕跡を残すという現象を分子論的に検討して化学進化の観点から探索する。
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研究実績の概要 |
近年、生体中でのD-アミノ酸の役割が注目されている。ペプチドのD-アミノ酸認識と反応性の関係を検討するため、L-アラニンペプチドとトリプトファン(Trp)エナンチオマーの水素結合クラスターの物性を、極低温イオントラップを用いた紫外光解離分光と気相水分子吸着の実験から検討した。 (1)L-Serを含むトリペプチド(SAA, ASA, AAS)とTrpエナンチオマーの水和クラスターの紫外光励起では、水和したNH2CHCOOH脱離生成物が観測されたが、H+(D-Trp)ASA(H2O)nの場合だけ水和したプロダクトイオンが生成しなかった。 (2)紫外光解離スペクトルのS1-S0遷移(インドール環のππ*状態)を解析した結果、H+(D-Trp)ASAのバンド幅が他の5種, H+(L-Trp)SAA, H+(L-Trp)ASA, H+(L-Trp)AAS, H+(D-Trp)SAA, H+(D-Trp)AAS, に比べてシャープな特徴を示した。 (3)水素結合クラスターの表面物性を評価した結果、H+(D-Trp)ASA表面の親水性が上記5種の水素結合クラスター表面に比べて低かった。 以上の(1)(2)(3)の実験結果より、H+(D-Trp)ASAではTrpのインドール環が水素結合クラスター表面に存在するのに対して、他の5種のクラスターではTrpのアミノ基とカルボキシ基が表面に存在することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外光解離分光と気相水分子吸着の実験から、ペプチドのアミノ酸配列とD-アミノ酸認識の関係、および分子認識機構を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
高感度な質量分析法と本研究で明らかにした分子認識機構を応用し、アミノ酸構造異性体とその鏡像異性体の識別と定量分析を試みる。次に核酸塩基とリボースがグリコシド結合したヌクレオシドとアミノ酸、水分子の分子間相互作用に着目し、低温孤立状態の水素結合錯体の紫外光解離実験から化学進化との関係を議論する。
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