研究課題/領域番号 |
23K04669
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
橋谷田 俊 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40805454)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | キラリティ / キラル縦偏光 / 円偏光 / 光渦 / 光の角運動量 / スピン軌道角運動量変換 / 電磁キラリティ / キラル相互作用 / ベクトルビーム / ナノ物質 |
研究開始時の研究の概要 |
キラル金属ナノ構造の近くに局在するキラル近接場光には,電磁場が回転する円偏光と,電磁場計算で存在が予測されている電磁場が回転しないキラル縦偏光が含まれる。キラル近接場光を用いるとキラル分子を高感度に検出できることが示されたが,キラル近接場光に含まれるキラル縦偏光がキラル物質と相互作用するかどうか明らかになっていない。そこで本研究では,電場分布が放射状のラジアル偏光と同心円状のアジマス偏光を相対的な位相差±90ºで重ね合わせた特殊な偏光をレンズで集光することでキラル縦偏光を人工的に創出し,それ用いてキラル物質を検出することで,相互作用のメカニズムを実験で明らかにすることを試みる。
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研究実績の概要 |
金属ナノ構造の近傍に局在するキラル近接場光を用いるとキラル分子を高感度に検出できることが示されたが,キラル近接場光に含まれるキラル縦偏光がキラル物質と相互作用するかどうか明らかになっていない。そこで本研究では,電場分布が放射状のラジアル偏光と同心円状のアジマス偏光を相対的な位相差±90ºで重ね合わせた特殊な偏光をレンズで集光することでキラル縦偏光を人工的に創出し,それ用いてキラル物質を検出することで,相互作用のメカニズムを実験で明らかにすることを目指している。本年度は,キラル縦偏光発生のための装置開発に取り組んだ。q-plate(偏光軸の向きが面内の方位角で変わる特殊なλ/2板)に対して直線偏光を入射するとラジアル偏光とアジマス偏光を発生させることができ,またそれらは入射偏光の向き(0度,90度)で制御できる。そこで本研究では,光弾性変調器を用いて発生させた高速変調した左右の円偏光をq-plateに入射することで高速変調した左右のキラル縦偏光を発生できる装置を構築した。構築した光学系で発生させた光に対して直線偏光子を用いると高速変調した左右の光渦が発生する。この高速変調光渦を左右の光渦に対して異なる光学応答を示すらせん位相構造(空間位相変調器で発生)と相互作用させ,それらの光学応答の差(らせん二色性)の信号を計測することで,構築した光学系で実際に光渦が高速変調できていることを実証した。この成果から,構築した光学系を用いて発生させた光をレンズで強く集光することで,高速変調したキラル縦偏光が発生できるという裏付けが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,キラル縦偏光とキラル物質の相互作用を明らかにすることを目標としているが,本年度に取り組んだ研究によってキラル縦偏光を発生させるための装置の構築が概ね完了している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,本年度に構築した装置と光学顕微鏡を組み合わせてキラル縦偏光とキラル物質の相互作用を実験的に観測できる光学系を構築する。キラル物質系として,ガラス基板上に分散させたキラル金ナノ粒子や微細加工技術で作製した人工キラル金ナノ構造を用いる。物質構造の対称性とキラル縦偏光を用いた二色性計測の結果の相関関係を明らかにし,キラル縦偏光で物質構造のキラリティが検出できることを実証する。
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