研究課題/領域番号 |
23K04677
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 宏之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任准教授 (60390655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 励起子 / 太陽電池 / 量子化学 / 量子ダイナミックス / マテリアルズインフォマティックス / エキシトン |
研究開始時の研究の概要 |
有機薄膜太陽電池は次世代太陽電池として期待されており、近年の非フラーレン電子アクセプター分子の進歩により光電変換効率が劇的に上昇している。本研究では、有機薄膜太陽電池の光電変換機構を根本原理から解明し高効率な新材料の設計指針を与えるため、第一原理計算と量子ダイナミックス計算を駆使した理論研究に取り組む。申請者のこれまでの有機系太陽電池の理論研究を発展させ、本研究では特に高効率非フラーレンアクセプターに着目し、光吸収、励起子拡散、電荷分離、電荷輸送を理論解析することにより効率を支配する要因を解明する。
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研究実績の概要 |
有機薄膜太陽電池は次世代太陽電池として期待されており、近年の非フラーレン電子アクセプター分子の進歩により光電変換効率が劇的に上昇している。本研究では、有機薄膜太陽電池の光電変換機構を根本原理から解明し高効率な新材料の設計指針を与えるため、計算化学とマテリアルズインフォマティックスを駆使した理論研究に取り組んだ。特に高効率非フラーレン電子アクセプターに着目し、光吸収および励起子の電荷分離を理論解析することにより効率を支配する要因を検討した。電子ドナー分子(PM6)とY6の界面における電子/正孔解離ポテンシャルをQM/MM計算で理論解析し、構造の乱れた界面より結晶性の高いバルク部でLUMOレベルが分子の極性によって安定化される効果を明らかにした。また、量子化学的解析に基づいてモデルハミルトニアンを決定し、量子ダイナミックス計算によってPM6/Y6界面での励起子の電荷分離を解析した。電荷の非局在やポテンシャルカスケードが電子-正孔解離障壁を下げることで、比較的小さいバンドオフセットでもサブピコ秒の効率的な電荷分離が起こり得ることが示唆された。また、有機薄膜太陽電池の電子アクセプターの計算化学的分子設計のために、分子構造の仮想自動生成プログラムを開発し、網羅的な量子化学計算による特性解析に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非フラーレン有機薄膜太陽電池の光電変換機構の解明と高効率な材料の設計のために、計算化学とマテリアルズインフォマティックスによる研究に取り組んだ。機構解明については、励起子のドナー/アクセプター界面における電荷分離機構について新しい知見を得ており、論文投稿の準備を進めている。また、分子構造の仮想自動生成のためのPythonスクリプトを開発し、スパコン富岳の利用申請をして、大量の分子の網羅的な量子化学計算で太陽電池に必要な特性を解析する体制を整えた。このため、研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、非フラーレン有機薄膜太陽電池の光電変換機構の解明と高効率な材料の設計のために計算化学とマテリアルズインフォマティックスを駆使した研究に取り組む。エネルギー変換機構について得られた知見を論文として発表する。また、分子構造の仮想自動生成のためのPythonスクリプトを開発し、スパコン富岳を活用した網羅的な量子化学計算で高効率な太陽電池として有望な新材料を予測する。分子構造と光物性の相関を解析し太陽電池特性を予測する機械学習モデルを構築する。
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