研究課題/領域番号 |
23K04685
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河本 充司 北海道大学, 理学研究院, 教授 (60251691)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | λ-(BETS)2X / π-d 相互作用 / 13C-NMR / 反強磁性 / NMR / 超伝導 / 分子性導体 / 金属絶縁体転移 |
研究開始時の研究の概要 |
λ-(BETS)2GaBrxCl4-x のxを変えた試料を用いてλ塩の金属絶縁体近傍を走査し、NMRと工学電気伝導度測定を用いて調査し、絶縁体領域の詳細をあきらかにする。また2つのデータの比較考察することによりNMRからは、磁気揺らぎの大きさとその起源、光学伝導度から得た伝導電子の遍歴性と局在性に関する知見を合わせてその関係を検討する。 また、得られた相図とNMR,反射スペクトルのデータを、Mott絶縁体であるκ塩の相図走査の結果と比較する。
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研究実績の概要 |
磁場誘起超伝導やFFLO超伝導の可能性が示唆される λ-(BETS)2FeCl4の磁気秩序状態や磁場誘起超伝導の要因であるπ-d 相互作用に関して我々は、一般化相図上でより絶縁体側にシフトさせたBEST分子を用いて、BETS塩での磁気転移に伴う金属絶縁体転移が絡み合い現象が複雑な状況を、磁気転移が絶縁体下で起きるシンプルな状態にして研究している。本年度はこの塩の常圧の13C-NMR を行いその結果をPhys. Rev. B に公表した。圧力下において参照物質である非磁性イオンを含むλ-(BEST)2GaCl4は、常磁性絶縁相を挟んだ2つの反強磁性相が存在することが埼玉大学との共同研究で明らかになった。これは、過去の理論的な研究から指摘されている複数のスピン構造の可能性と関連していると考えられる。この2つの反強磁性相は過去のλ塩の研究からは見つからなかったものである。このことは、BETS を含むλ塩の磁気基底状態がなんであるかを調べるための重要な知見を与えると考えられる。 またπ-d 相互作用が存在するλ-(BEST)2FeCl4 でその温度圧力相図がどのようなものになるかは興味深い。2つの塩の温度圧力相図の違いは、π-d 相互作用の有無によるものと考えられる。そこで現在、λ-(BEST)2FeCl4の圧力下13C NMRを行っている。現在のところ常圧で観測されたAF相がTNが上昇し、内部磁場が増大する形で高圧下でも存在し、λ-(BEST)2GaCl4で観測された常磁性絶縁相やあらたなAF相は観測されていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね研究は磁性のパートに関しては、新しい発見を含め順調にすすんでいると考えている。電荷の観点での進捗が遅れており、特に注目しているλ-(BETS)2GaCl4 の化学圧力の試料作製を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要にも書いたλ-(BEST)2GaCl4は、常磁性絶縁相を挟んだ2つの反強磁性相が存在というのはいままでのλ塩では報告されていなかった新たな発見であり、この部分に注目した 13C-NMR を含む磁性プローブをつかった詳細な調査を検討している。
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