研究課題/領域番号 |
23K04688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井元 健太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (90736000)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 機能性材料 / 光学特性 / 光学物性 / 非線形分極 / 外場応答性 / 機能材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、外場応答性を有する分子における非線形感受率の分子設計、結晶の対称性に着目した分子設計、という2種類のアプローチにより、光応答性を有するニトロシル配位子を有する金属錯体及びシアン化物イオンを配位子とする集積型錯体を設計・構築し、第二高調波発生(SHG)や強誘電性の外部刺激による制御を行う。特に、今までに報告のないSHGの多段階スイッチングや強誘電強磁性の外場制御を目的として研究を行う。
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研究実績の概要 |
希土類イオン、ペンタシアノニトロシル鉄酸イオンを構築素子とした、新規物質の合成を行った。単結晶構造解析の結果、Pna21という空間群に属することがわかり、反転対称の破れた材料の合成に成功した。本材料では、希土類イオン、鉄イオンがシアン化物イオンを介して1次元的に架橋された構造体を形成しており、ペンタシアノニトロシル鉄酸イオンのニトロシルは、結晶c軸方向に揃った構造体となっていた。空間群Pna21は、c軸方向に自発電気分極を有する空間群であり、ニトロシルがc軸方向に向け揃った構造体を形成したことも、自発電気分極が発現した一因と考えられる。また、第二高調波発生の測定を行った結果、入射光の半分の波長の光が、入射光強度の二乗に比例する強度で出射されることがわかり、第二高調波発生が認められた。結晶における第二高調波発生測定に向け、温度や入射条件、出射条件の確認を行った。一方、オクタシアノ金属酸イオンとマンガンイオン、有機配位子4-ブロモピリジンと組み合わせた材料においても、反転対称が破れた空間群の材料が得られることを確かめ、磁化測定より、28Kにおいて磁気相転移を示すことを確認した。更に、中心金属イオン周りの反転対称を持たないオクタシアノ金属錯体や、双極子モーメントや非対称分極率が比較的大きいチオシアン酸イオンを構築素子とし、鉄イオンと組み合わせた新規化合物において、温度により電子状態が変化するスピンクロスオーバー現象を観測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ペンタシアノニトロシル鉄酸イオンを構築素子とした反転対称の破れた材料の合成、オクタシアノ金属酸イオンとマンガンイオン、有機配位子4-ブロモピリジンと組み合わせた材料における磁気相転移を示す反転対称が破れた空間群の材料が得られており、本研究の1年目に目標としていたペンタシアノニトロシル金属酸イオン[M(CN)5(NO)]m-の配列が制御された反転対称が破れた物質の合成、シアノ金属酸イオン[M(CN)n]m-を構築素子として用いた中心対称を持たない集積型錯体の合成に成功していることから、順調に進展しているといえる。また、第二高調波発生の測定についても、温度や入射条件を制御して測定するためのシステムを構築しており、順調に進展をしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策としては、当初の研究計画の通り、得られた結晶材料の対称性を考慮して解析した第二高調波の入射条件、出射条件に基づき第二高調波発生の測定を行い、結晶の対称性を反映した第二高調波発生の観測、強磁性を示す第二高調波活性化合物において、磁気相転移温度以下における磁化誘起第二高調波の発現や磁場による磁化誘起第二高調波の制御、自発電気分極を有する磁性体の合成および強誘電性の観測へと進んでゆく。そして、光応答性を有する反転対称が破れた物質などを用いて、外部刺激印加前後におけるSHGの測定を行い、SHGの多段階制御、強誘電性を示す磁性体において、外場応答性が観測されるかどうかの確認、強誘電性を観測した磁性体における、外部刺激を用いた物性制御を行うための測定システムの構築および外部刺激による強誘電性や磁気特性の変化の観測をおこなう。
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