研究課題/領域番号 |
23K04689
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
沓水 祥一 岐阜大学, 工学部, 教授 (80214964)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 双連続キュービック相 / 液晶 / 三次元ネットワーク / 分子デザイン / らせん制御 / 自己組織化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、双連続キュービック(Cub)液晶が形成する、動的かつ刺激応答性の三次元ネットワーク構造のらせん制御を行う。課題は、らせん配列を形成する逆紡錘形状分子をいかにデザインするか?である。本研究では、これまでの研究から①逆紡錘形状の分子コアの非対称性と②側方置換基による分子コア間の相互作用調節が有効と考え、この二つの観点からこの課題解決と特性制御への道を提示する。
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研究実績の概要 |
双連続キュービック(Cub)相のらせんを伴ったネットワークを分子デザインから制御すべく、(A)分子コアへの非対称性の導入、ならびに(B)分子コアへの側方置換基の導入の両効果を調査している。特筆すべき結果は以下の通りである。 (1)メチル基の導入では、中心対称コアと非対称コアのいずれにおいても、導入後は、キラルCub相の形成は見られず、アキラルなIa3dのCub相の形成のみが観測された。一方、メチル基導入は、ネットワーク内の分子の積層ねじれを増大させた。X線回折(XRD)の強度比解析より、導入後は、例外なく、コア1層構造の積層構造のみが観察されていることが明らかとなった。メチル基導入が相互作用的にコア2層構造の安定化に不利に働いているためと考察している。(2)フッ素原子の中心対称分子コアへの導入では、キラルCub相の形成が維持された。側方に1個導入した場合は、導入する前よりキラルCub相の顕著な安定化が見られたが、2個導入すると、その温度域はむしろ縮小した。キラルCub相の形成に焦点を当てると、側方間の引力的な双極子相互作用の適度な大きさへの調節が必要であることを意味している。(3)静岡大の岡先生との共同研究により、いくつかのキラルCub相の高エネ研放射光を利用した強度比解析から、長年のナノ構造の謎を解き明かした2013年のSoft Matterの報告同様、空間群I2_13のネットワークの形成を確認している。現在、詳細な比較検討を行っている。(4)末端にジシロキサン鎖をもち空間群Ia3dのCub相を形成する化合物と末端にトリシロキサン鎖をもちキラルCub相を形成する化合物の1:1二成分系のCub相形成を解析し、PCCPに報告を行った。空間群Ia3dのCub相の形成は、室温において1年以上にわたって安定であった。二成分系によるCub相の室温安定化の初めての例である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キラルCub相を安定に取り出すという課題に対しては、必ずしも期待した結果ばかりではないが、それらを詳細に考察・検討した先に、当該課題達成への道が開けると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の分子デザインの2方針、(A)分子コアへの非対称性の導入、ならびに(B)分子コアへの側方置換基の導入の効果を引き続き調査する予定である。
また、重要なこととして、いくつかの分子のキラルCub相のナノ構造の詳細解析により、アルキル鎖の炭素数が14と15で、分子コアがビスベンジルヒドラジンのキラルCub相において世界で初めて明らかにした空間群I2_13のネットワーク構造が他のキラルCub相においても普遍的に存在することを示したい。さらにはナノ構造と分子構造との関係を詳細に考察することで、キラルCub相形成の分子デザインの鍵を得たいと考えている。
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