研究課題/領域番号 |
23K04700
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
阪田 薫穂 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (80514215)
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研究分担者 |
雨宮 健太 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80313196)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 軟X線吸収分光 / オペランド測定 / リアルタイム測定 / 電気化学 / 水分解用電極触媒 / 固液界面 / 電極触媒 / 表面化学 / リアルタイム観察 |
研究開始時の研究の概要 |
水分解用半導体光触媒の表面において、反応中にどのような化学種が生成し、反応の進行とともにどのように変化していくかを知ることは、触媒活性を高めるうえで必須である。本研究では、放射光を用い、触媒と溶液の界面近傍における軟X線の吸収スペクトルを、触媒の動作中に秒オーダーの時間分解能で連続測定することで反応中に生成する化学種を同定し、その反応過程を観察する。特に、光触媒の高性能化に貢献するため、電気化学反応中の触媒反応を観察できるセルを開発し、オペランド(実動作環境下)での反応のリアルタイム追跡を行うことで、電極/電解質溶液界面における化学種およびその電子状態の変化と触媒活性の相関を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、蛍光収量波長分散型軟X線吸収分光法を用いて、水分解用電極触媒の酸素発生電極の固液界面における化学反応のリアルタイム観察を行っている。 半導体光触媒であるアナターゼ型TiO2をモデルとして、溶液の界面近傍における酸素や、Tiの吸収スペクトルを、触媒の動作中に秒オーダーの時間分解能で連続測定(リアルタイム測定)を行った。本研究を通して、半導体光触媒表面の原子レベルでの形状と触媒活性の相関についての知見を得ることを目指している。 測定には、自作の電気化学反応中の触媒反応を光照射下で観察できるセルを使用した。セル部分には、対極のPt、および参照極Ag/AgClを組み込み、電解質溶液や紫外光等を導入できるようにしている。さらに、試料セルに設置しているX線導入用の薄膜SiN窓材の上に、光触媒電極を直接積層して作用電極とし、溶液と触媒の界面近傍の蛍光X線を観察できるような構造とした。 電位掃引中および光照射on/off時のTiO2の酸素発生反応について、O K吸収端やTi L 吸収端の測定を行った。その結果、TiO2を電極に担持した場合は、電位掃引や光照射の有無で、O K吸収端のピークに変化が確認できた。特に、533.8 eV付近に確認できたピークは、固液界面の反応中間体に起因するピークである可能性がある。今後は、さらに時間分解能を上げた測定や、多元系の酸素発生電極触媒に対して測定を行い、酸素発生のカイネティクスや、触媒表面の化学状態と触媒活性の相関について解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、酸素発生触媒のモデルとしてアナターゼ型TiO2に着目し、波長分散型X線吸収分光を用いて測定が行えるように薄膜電極を作成した。X線吸収分光の測定中に、電位を掃引しながら、UV光の照射の有無でのTiO2の酸素K吸収端のリアルタイムオペランド測定を行うことができた。その内容を纏めて論文誌への投稿も行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに時間分解能を上げた測定を目指して装置の改造を行う。 また、酸素発生触媒であるCo, Ni, Cu, Fe, Ru, Ir等を含む多元系の金属酸化物や助触媒を担持したTiO2やSrTiO3に対して測定を行い、酸素発生のカイネティクスや、触媒表面の化学状態と触媒活性の相関について解析を行う予定である。また、電極表面近傍に吸着した中間体や発生した酸素を観察することを目指す。また、触媒活性は中間体の-OH種や-O種の表面との結合の強さと関連しているとの報告があるので、触媒表面側の価数や表面の中間体の安定性に対して、金属酸化物の元素種がどのように影響するか、電極電位との相関について系統的に解析を行っていく予定である。
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