研究課題/領域番号 |
23K04716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
小玉 康一 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90509712)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 超分子ゲル / 不斉認識 / 低分子量ゲル化剤 / キラリティー / 光学分割 / β-アミノ酸 / 有機結晶 |
研究開始時の研究の概要 |
キラル化合物とは互いに鏡映しの関係にある一対の化合物のことであり、医薬品の製造などにおいてはそのうちの一方だけを利用する需要が高まっている。キラル化合物の分離方法がいくつか研究されているが、さらに多様なキラル化合物を効率的に得る技術の開発が求められている。そこで本研究では、超分子ゲルを利用した光学分割法を実用的な技術として確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、環状構造を有するキラルなβ-アミノ酸である2-アミノシクロヘキサンカルボン酸(ACHC)から誘導される低分子量ゲル化剤を合成し、得られる超分子ゲルを利用した光学分割法の確立を目指すものである。令和5年度は、ACHCから誘導されるカルボン酸型の低分子量ゲル化剤の開発および原料であるACHCの立体化学がそのゲル化能に及ぼす影響について調査した。 ACHCの各立体異性体を調製し、それらのアミノ基に対して長鎖脂肪酸を縮合させたカルボン酸型化合物を合成し、種々の溶媒に対するゲル化能を評価した。その結果、ラセミ体よりもエナンチオマー体の方が高いゲル化能を示し、また、トランス体の方がシス体よりも高いゲル化能を示すことがわかった。トランス体のエナンチオマー(trans-1)はトルエンなどの芳香族炭化水素に対して特に高いゲル化能を示した。SEM観察、IRスペクトル測定、XRD測定、モデル化合物の単結晶構造解析の結果より、合成したtrans-1はカルボキシ基とアミド部位が関与する2カ所の水素結合によって一次元集合体を形成していると推測される。 trans-1から得られた超分子ゲルはtrans-1のキラリティーを反映していると考えられるため、超分子ゲルを利用したアミン類に対する不斉識別能を調査した。1-フェニルエチルアミンの各エナンチオマーをゲルに添加したところ、添加したエナンチオマーの立体化学に応じて、ゲルの外観が変化し、アミンの不斉認識が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに環状β-アミノ酸誘導体の各種立体異性体を合成し、それらのゲル化能を評価した。これらのカルボン酸の立体化学による影響が明らかになったため、今後の方針につながる重要な知見を得ることができた。そのため、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、アンビデキストラス性を有する低分子量ゲル化剤の開発を目指し、異なるACHC誘導体を合成する。その際にACHCの立体化学は令和5年度の研究において有効であることがわかったトランス体のエナンチオマーに限定する。合成およびゲル化能の評価に続き、光学分割に取り組む予定である。
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