研究課題/領域番号 |
23K04719
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
平下 恒久 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345948)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | アゾ化合物 / テトラゾリウム環 / メソイオン化合物 / テトラゾリウム |
研究開始時の研究の概要 |
アゾ基に電子求引性基としてエステルが結合したアゾジカルボン酸ジエステルは,電子受容体として光延反応をはじめ種々の反応に利用されている。アゾ基の両端にカチオン性のテトラゾリウム環を導入したアゾジカチオンはよりアゾ基が電子不足状態となっていると期待できる。このアゾジカチオンは可逆的に2電子還元されてメソイオン性アジンを与える化合物で,アルコールの触媒的空気酸化反応が添加剤なしに室温大気下で進行することを見いだしている。本触媒に電子的・立体的チューニングを行い,空気酸化を組み合わせた触媒的酸化反応・光延反応を検討する。触媒が有色であることに着目し,光照射によって活性種を発生させられるか検討する。
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研究実績の概要 |
アゾ基に電子求引性基としてエステルが結合したアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)またその誘導体(イソプロピルエステルのDIAD)は,電子受容体として光延反応をはじめ種々の反応に利用されている。この種の反応には電子受容体は等量用いるのが通例で,原子効率の観点から触媒化が強く望まれている。アゾ基の両端にカチオン性のテトラゾリウム環を導入したアゾジカチオン種は,より一層の反応性の向上が期待できる。このアゾジカチオン種は可逆的に2電子還元されてメソイオン性アジンを与えるなど,通常のアゾ化合物では実現できないメソイオン構造のアジンを含む安定な酸化還元系を構成していることが知られている。また,このアゾジカチオン種を用いると,アルコールの触媒的(10 mol%)空気酸化反応が添加剤なしに室温大気下で進行することを見いだしている。本反応の特徴は,アゾジカチオン種自身とその還元体との間の均化反応を経て生じるラジカル種が空気中酸素分子による酸化反応によって,アゾジカチオン種が再生できる点にある。電気化学的に再酸化できれば,より一層の効率的でクリーンな反応が期待できる。そこで本アゾジカチオン種をアルコール酸化のメディエーターとして取り上げ,電気化学的な手法による参加反応をまず検討した。さらに,光延反応への展開の最初の段階として,アゾジカチオン種とホスフィン類との反応を検討した。またアゾジカチオン種がアルケンと効率的にアゾ-エン反応を起こすことも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクトの第一段階として,安息香酸とエタノールから安息香酸エチルを生成する反応をモデルに,本アゾジカチオン種とトリフェニルホスフィンを添加して検討を行った。トリエチルアミンを添加すると,少量の生成物が得られた,添加したトリフェニルホスフィンはトリフェニルホスフィンオキシドとして得られた。次に段階的に反応を確認するため,アゾジカチオン種 とトリフェニルホスフィンのみの反応をNMRにより追跡し,ベタイン中間体の観測を試みたところ, 3 分以内にトリフェニルホスフィンの消失を確認し ,31P NMRから生成物をトリフェニルホスフィンオキシドと同定した。そこで,完全に空気中酸素を遮断するため,窒素ガス流通下で反応を検討すると,反応混合物中には31P NMR からトリフェニルホスフィンオキシドのスペクトルは観測されず,再沈殿によって行うことで,アゾジカチオン種とトリフェニルホスフィンの付加物を単離できた。次に本プロジェクトにより調達した電解反応装置を用いて,2-オクタノールをモデル基質とし,アゾジカチオン種を10 mol%使用した電極酸化反応を検討した。溶媒にアセトニトリルを用いて反応を行うと,反応開始から1.5時間後には変換率はアゾジカチオン種の投入量の10%を超えた。反応開始から24時間後には酸化されたケトンの収率は45%となり,アゾジカチオン種の電極反応のメディエーターとして機能が示された。しかし,2-オクタノールの空気酸化ではわずか2 時間で91%の変換率を達成しており,本電極反応には課題が残った。また,アゾジカチオン種はアルケンと容易にアゾ-エン反応を起こし,アゾ窒素にアリリック置換基が導入されることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度に実施予定である【テトラゾリウム環への電子的・立体的修飾】では、以下のテーマに取り組むことで,新たな反応開発を目指す。これまではテトラゾリウム環の1位,3位に置換基を有するタイプAと称される化合物を基盤としたアゾジカチオン種を用いてきた。そこで,2位,3位に置換基を有するタイプBと呼ばれるテトラゾリウム環ユニットから構成される新たなアゾジカチオン種の合成を検討する。すでに2位,3位のアリール置換基のオルト位同士を連結したシンノリウムタイプの化合物の合成に成功しており,これらは非連結のタイプB類と異なり,化学的に安定であることを見出している。従来のタイプAと合わせて反応挙動を検討することで,テトラゾリウム系アゾジカチオン種への深まることが期待される。また,テトラゾリウム環の1位,3位,特に,アゾ基隣接の1位のアリール基の立体環境を変化させるため,ナフチル基をはじめ,より立体的にかさばる置換基の導入を図り,対応するアゾジカチオン種の合成を検討し,アゾ基とホスフィン類との反応挙動の影響を調べる。【ジカチオンによる触媒的光延反応の検討】では,昨年度に見出したホスフィンへの極めて容易な酸化反応について検討すべく,種々のホスフィン類との反応を検討する。また単離できたアゾジカチオン種とトリフェニルホスフィンの付加物を利用した反応の検討を行う。【Electrophotocatalysisの検討】では,アゾジカチオン種に光照射下における付加反応の検討を行う。
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