研究課題/領域番号 |
23K04725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
高井 淳朗 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 主任研究員 (90746728)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | π共役分子 / 分子集積体 / 化学反応 / アクティブマター / システムズ・ケミストリー |
研究開始時の研究の概要 |
分子構造や分子配向の変化を協働的に増幅し、自発的にマクロな運動性を発現するような新奇ソフトマテリアルの開発が強く望まれている。しかし、 そのような自律運動型分子素子の設計指針は、確立されていない。本研究では、π共役分子集積体の分子配向と化学反応性の緻密な制御により、水面を自己駆動するπ共役分子集積体を創出する。これにより、マクロな運動性と分子集積構造ダイナミクスの相関解明と、既存の科学では達成できなかった自己駆動性の制御を実現し、化学-運動エネルギー変換を行う革新的な動的分子性材料の基盤を築く。
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研究実績の概要 |
生物のようにマクロな自己駆動性を示す物質に関する研究は、アクティブマターと呼ばれる概念の下、様々な物質探索や数理モデル研究が行われてきた。しかし、依然として非平衡開放系におけるマクロな自己駆動性を分子化学的な設計に基づいて発現・制御することは困難である。本研究では、研究代表者が近年見出した水面を自己駆動するπ共役分子を足がかりとして、分子構造、および界面配向を系統的に探索し、マクロな運動モードを決定付ける分子化学的な制御因子の解明に取り組んでいる。
本年は、自己駆動性を示すことがわかっているπ共役分子の側鎖に様々な置換基を導入した分子群の合成と、それらの水面での自己駆動性についてスクリーニングを行った。まず、一連の化合物について、核磁気共鳴分光・質量分析・単結晶X線構造解析などを用いて同定した後、紫外可視吸収分光・電気化学測定・表面張力測定などにより基礎物性を比較した。その結果、π電子系骨格に導入したポリエチレングリコール鎖の末端構造の違いにより、水溶液の表面張力値や水への溶解速度に顕著な差違が見られた。一方、吸収スペクトルや酸化還元電位に大きな差違は見られなかった。
次に、一連の化合物とポリスチレン系エラストマーをクロロホルム中で混合した後に乾燥させ、サイズと形状を揃えたディスクを作製した。これらのディスクをバッファー水溶液中に浮かべ、自己駆動性を解析した。その結果、水溶液の表面張力値や水への溶解速度と自己駆動性の間に有意な相関があることがわかった。さらに、ディスク表面近傍の化合物の配向を変化させると、自己駆動の遅延時間と初速度に大きな違いが現れることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、全期間を通して以下の3点を達成すること目的としている:①π共役分子の合成および水面での自己駆動性の系統的評価、②界面配向制御されたπ共役分子の自己駆動性の評価、③自己駆動性を支配する分子化学的な制御因子の解明。1年目で①と②の一部を達成し、主要論文の投稿の目処も立ったことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
π共役分子の界面配向について、より大面積での異方配向を実現し、分子配向と自己駆動性の運動方向や速度との相関を解明する。異方配向膜の作製においては、適宜、共同研究を実施する。
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