研究課題/領域番号 |
23K04737
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
池内 和忠 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (70756676)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ノルボルナン / ビスシリルエノールエーテル / シクロペンタジエン / 骨格転位 / 7-ノルボルナノン / シリルエノールエーテル |
研究開始時の研究の概要 |
ノルボルナン誘導体は、合成ビルディングブロックとしての用途に加え、創薬・高分子化学にも用いられる重要な化合物である。しかしこれまでの研究は単純な構造を持つカンファーを基にした誘導体が広く使われており、ノルボルナン骨格を内包した複雑構造化合物や橋頭位に酸素官能基を持った化合物は利用されていない。そこで本研究では、独自で開発した1,4-ビスシリルエノールエーテル構造を持つシクロペンタジエンを拠点とし、複雑構造が含まれているノルボルナン化合物の合成を目指す。また、その知見を応用し、生物活性天然物の全合成にも展開する。
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研究実績の概要 |
申請者はこれまで例のない1位及び4位に酸素官能基が置換したシクロペンタジエン誘導体を合成し、その分子内Diels-Alder反応によって橋頭位に酸素官能基を2つ持つビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)骨格含有三環性化合物の合成に成功している。このシクロペンタジエンは、1,3-シクロペンタジオンの2つのカルボニル基をシリルエノールエーテル化することで調製可能である。シクロペンタジエンは有用な合成ビルディングブロックとして知られているが、酸素官能基を複数持つシクロペンタジエン誘導体の合成・応用例が少ないため、申請者が合成したジエン化合物及びDiels-Alder生成物のさらなる応用性を示せば、学術的独自性がさらに高まる。 そこで、独自のシクロペンタジエンを用いた分子内アリル位求核置換反応によるノルボルナン-7-オン骨格構築法を開発と分子内Diels-lder反応生成物に含まれるノルボルナン構造の骨格転位による新規三環性化合物の合成と開発した合成手法を駆使した生物活性天然物の合成に展開を目標に研究を開始した。 2023年度はノルボルナン-7-オン骨格構築法を主に検討し、2位側鎖2’位にオキシピコリノイル基を持つ1,3-シクロペンタジオン誘導体を前駆体に用いた7-ノルボルナノン骨格構築法の確立に成功した。当初の計画として、2’位にベンゾイルオキシ基が置換した化合物を検討していたが、目的の7-ノルボルナノン体と共生成物である安息香酸シリルエステルとの分離が困難である問題に直面した。そこで、共生成物の極性を変化させる目的で、ベンゼン環上のオルト位炭素を窒素に置換した。すると、共生成物であるピコリン酸シリルエステルは容易に除去できると共に、ピコリノイルオキシ基の脱離能がベンゾイルオキシ基より高いためにより低温で環化反応が進行することを見出した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
7-ノルボルナノン骨格の2'位の置換基がアリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルキル基などトータル25個の化合物の合成に成功した。また、本反応は、当初予測していた分子内アリル位求核置換反応ではなく、1,4-ビスシロキシ-1,3-シクロペンタジエンの特異的な反応によって系中で形成される4,5-縮環化合物のセミピナコール転位によって本骨格が構築される機構についても明らかとした。
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今後の研究の推進方策 |
分子内Diels&-Alder反応生成物に含まれるノルボルナン構造の骨格転位による新規三環性化合物(ブレンダン)の合成を検討する。また、得られたブレンダン骨格の更なる変換によって、天然物の合成研究に展開する。
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