研究課題/領域番号 |
23K04757
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
坂井 教郎 東京理科大学, 創域理工学部先端化学科, 教授 (00328569)
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研究分担者 |
荻原 陽平 東京都立大学, 理学研究科, 特任准教授 (00734394)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | フッ化アシル / カルベン / エノールシリルエーテル / ビニルエステル / 炭素-フッ素結合活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
炭素とフッ素結合は、他の炭素とハロゲン結合と比較して、その結合エネルギーが非常に大きいことから安定でその切断は容易ではない。しかし、新しい金属触媒と光レドックス触媒を用いて、この炭素とフッ素結合を容易に切断し、別の原子(官能基)と繋ぎ合わせることが自由自在にできれば、究極的にはフロンガスの分解など環境問題等を有機合成化学の手法を用いて解決することも可能となり、その研究意義は非常に大きい。以上の観点から研究を鋭意遂行していく。
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研究実績の概要 |
フッ化アシルに対して金属触媒およびフォトレドックス触媒を作用させ、炭素-フッ素結合切断と脱カルボニル化の検討を行った。その結果、フッ化ベンゾイルとニッケル触媒および配位子と鍵となる可視光フォトレドックス触媒としてIr錯体を加え、光照射下による脱カルボニル化反応を試みたが所望の反応が進行しないことが明らかになった。 炭素-フッ素結合の切断が本条件下では観測されなかったので、原点回帰の観点から金属触媒によるフッ化アシルのC-F結合の切断を再検討した。フッ化ベンゾイルを反応基質とし、C-F結合の切断を確認する手段としてカルベンの挿入反応を活用した。フッ化アシルの炭素-フッ素間にカルベン炭素を挿入できれば、増炭させ、かつ基質にフッ素原子も残すことが可能となり有用なα-フルオロケトンを合成できると着想したからである。そこで、フッ化ベンゾイルとトリメチルシリル基含有カルベン前駆体を銅触媒とリン配位子存在下で反応させたが目的とするフルオロケトンは得られなかった。触媒を銅触媒からPdおよびNi触媒等へと変更し、溶媒や反応温度も種々変更してみたがいずれの場合もフルオロケトンは得られなかった。 一方、この検討の中で、強力なフッ素-ケイ素間の結合力に着目して、有機ケイ素化合物を利用すればフッ化アシルの炭素-フッ素結合が効果的に切断できるのではないかと着想し、エノールシリルエーテルとの反応を検討した。その結果、フッ化アシルとエノールシリルエーテルを混合し室温下で反応させたところフッ化ベンゾイルのC-F結合の切断が確認され、ビニルエステルがほぼ定量的に得られることを新たに見出した。この反応は金属触媒や強塩基などの添加を必要とせず、触媒量のフッ化物イオンとクラウンエーテルを混合するのみで進行することが確認された。このような簡便なフッ化アシルの分子変換法の例はほとんどなく、非常に有意義な結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
反応基質であるフッ化アシルの炭素-フッ素結合が当初の予想以上に強く、通常の光照射下では自由に切断できないことが明らかになった。また、パラジウムやニッケルなどの金属触媒を用いた切断反応も検討したが、切断後のカップリングパートナー(カルベン)との相性が良くない場合には、結合が全く切断できないことも明らかになった。従って、当初の研究内容の進捗状況としては遅れている。 一方で、フッ素-ケイ素間の強い共有結合を活用すれば、フッ化アシルの炭素-フッ素結合を切断できるのではないかとの着想によりエノールシリルエーテルとの縮合反応を検討したところ所望の結合切断が進行して、ビニルエーテルがほぼ定量的に得られることを新たに見出したことは大きな収穫である。現在はこちらの反応開拓に重点を置いており、こちらの状況としてはおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
繰り返しになるが、反応基質であるフッ化アシルの炭素-フッ素結合が当初の予想以上に強く、当初の計画では自由に切断できないことが明らかになった。現在はフッ素-ケイ素間の強い共有結合を利用した有機ケイ素化合物とフッ化アシルの分子変換反応の新たな探索を行う。また、金属触媒などを用いたフッ化アシルへのカルベン挿入反応も適用できるかどうか再探索する。
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