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アルデヒドをアルキル化剤とするα-アルキル化反応

研究課題

研究課題/領域番号 23K04759
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分33020:有機合成化学関連
研究機関第一薬科大学

研究代表者

門口 泰也  第一薬科大学, 薬学部, 教授 (40433205)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワードα-アルキル化反応 / アルデヒド / 還元剤無添加 / パラジウム触媒 / α-アルキル化 / 触媒
研究開始時の研究の概要

カルボニル化合物は様々な化合物に変換可能であるため、様々な化合物の原料となる。また、カルボニル化合物の特徴を成す官能基(カルボニル基)は医薬品など多くの生物活性物質の分子構造に含まれている。本申請研究ではカルボニル基に隣接する炭素原子をアルデヒドで伸長する(アルキル化する)ことで、異なるカルボニル化合物を合成する新手法を開発する。従来法とは異なり、この方法では高毒性の一酸化炭素や可燃性の水素といった危険を伴う恐れのあるガスを使用しない。したがって、本研究で開発する反応は、安全性の高い実用的な反応として、プロセス化学への適用が期待される。

研究実績の概要

本研究では、アルデヒドを用いて、カルボニル基に隣接するα位の炭素原子を伸長(アルキル化)することで、様々なカルボニル化合物への変換が可能な新手法の開発を目指している。通常、アルデヒドとカルボニル化合物の反応では、アルドール縮合によりα,β-不飽和カルボニル化合物が生成する。したがって、従来法ではアルデヒドを用いてα-アルキル化体を得るために、高毒性の一酸化炭素や可燃性の水素といった危険を伴う恐れのあるガスを還元剤として用いていた。本研究で開発する反応は、これら還元性ガスを使用しないことから、安全性の高い実用的な反応として、プロセス化学への適用が期待される。
反応条件の最適化を目的として、アセトフェノンとp-アニスアルデヒドを原料として、触媒と塩基の種類と当量、溶媒と反応温度、p-アニスアルデヒドの当量について精査した。その結果、2当量のp-アニスアルデヒドを用いて、5 mol%の酢酸パラジウム(II) [Pd(OAc)2]、2.4当量のナトリウムt-ブトキシド(NaOt-Bu)共存下トルエン中アルゴン雰囲気下80℃で撹拌することで、目的の反応は効率よく進行し、アルドール縮合成績体は全く生成せず、対応するα-アルキル化体が93%の単離収率で得られた。なお、NaOt-Buを4当量に増量すると、アセトフェノンが還元された1-フェニルエタノールの生成が確認された(7%生成比)。この結果は、NaOt-Buが還元剤として作用することを示唆している。
反応系に存在する微量の水が水素源となる可能性を調べるために、上記の最適条件に2当量の水を添加したところ、1H NMR比で7%ではあるが、1-フェニルエタノールが生成した。今後重水素の添加により、生成物への重水素の取り込みを調べることで、本反応における水の関与を明確にする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り1年目で、アルデヒドをアルキル化剤とするケトンのα位のアルキル化反応の反応条件を最適化することができた。反応機構についても、水の関与の可能性を掴みつつあり、本研究は順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

令和5年度に確立した反応条件に基づいて、置換基の種類や置換位置が異なるベンズアルデヒドのほか、ナフトアルデヒドや複素芳香族アルデヒドなど様々なアルデヒドを用いてアセトフェノンのα-アルキル化反応を検討し、基質適用性を明確にする。カルボニル化合物についても、ベンゼン環に置換基を持つアセトフェノンやプロピオフェノン、N,N-ジメチルアセトアミドなどの適用性を精査する。
令和6年度は、反応機構解明に向けた検討も進める。本研究が対象とする反応では、水素を添加しなくともアルドール縮合成績体(カルコン)のアルケン部位が還元されている。そこで、反応過程での水素発生の有無を明確にする。本申請研究のアルデヒドによるアルキル化反応とスチレンの接触水素化反応を同一気相で別個に実施し、スチレンの水素化の有無により、アルキル化反応での水素の生成を証明する。同時に、水素発生の有無を直接証明するために、反応系の水素濃度の定量分析を大学外の分析機関に依頼する。また、令和5年度の検討で、系内に微量に存在する水が水素源として働く可能性が認められている。重水(D2O)の添加により、生成物中への重水素の取り込みが確認された場合、水が水素源と同定できる。さらに、カルコンを原料にして、塩基や触媒さらにはベンズアルデヒドやベンジルアルコールを添加した場合と添加しない場合での反応を実施し、アルケン部位の水素化の効率を比較する。加えて、本反応における一電子移動の関与を明確にするために、一電子補足剤やラジカル補足剤の添加による反応阻害効果を検討する。これらの結果を総合的に考慮し、本反応の反応機構を提示する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 酸性樹脂を用いた、クリーンなチオマイケル反応2024

    • 著者名/発表者名
      門口 泰也、熊谷 有紗、吉田 勇貴、横武 朱莉、松園 愛花、松村 夏希、古賀 和隆、横山 さゆり
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] アルデヒドを用いた還元剤フリーα-アルキル化反応2023

    • 著者名/発表者名
      酒井 太聖、山下 康太郎、髙丸 美空、田島 弘崇、小西 弘晃、古賀 和隆、横山 さゆり、門口 泰也
    • 学会等名
      第40回日本薬学会九州山口支部大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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