研究課題/領域番号 |
23K04768
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
尾本 賢一郎 長崎大学, 工学研究科, 助教 (40820056)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 長鎖テルペン / 金属イオン / 構造制御 / M-π型配位結合 / テルペン / 配座制御 / フォールディング |
研究開始時の研究の概要 |
長鎖テルペンが示す立体・位置選択的な酵素反応を人工的な手法で実現するためには、その柔軟な立体構造を自在に制御する技術の開発が必要である。本研究では、金属錯体形成を活用した長鎖テルペンの立体構造とその反応性を制御する手法を開発する。まず長鎖テルペンと金属イオンが多点M-π型配位結合を介して結合した「M-π型テルペン錯体」を構築し、そのフォールディング構造と金属イオンの配位構造・配列形式との相関を調査する。さらに、「M-π型テルペン錯体」のフォールディング構造に特異的な位置・立体選択的な化学反応を探索し、長鎖テルペンの立体構造・反応性の制御に対するM-π型配位結合の活用可能性を探究する。
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研究実績の概要 |
長鎖テルペンが示す立体・位置選択的な酵素反応を人工的な手法で実現するためには、その柔軟な立体構造を自在に制御する技術の開発が必要である。本研究では、金属イオンと不飽和炭化水素のC=C結合との間に形成される非ウェルナー型の配位結合 (M-π結合) に着目し、M-π結合を介して直鎖テルペンをフォールディングし、その構造に特異的な位置・立体選択的な化学反応を探索することを目指す。2023年度はまず、「M-π型テルペン錯体」の合成条件とその立体構造の解析について検討を行った。具体的には、不飽和結合を有するトリテルペンと銀イオンとの錯体形成を実施し、その反応過程をNMR測定を用いて追跡した。結果として、金属イオンと長鎖テルペンが速やかに反応し、M-π結合を有する「M-π型テルペン錯体」を形成することが確認された。得られた「M-π型テルペン錯体」の質量分析を実施したところ、多核錯体の形成が示唆された。得られた「M-π型テルペン錯体」の構造を単結晶X線構造解析を用いて評価したところ、長鎖テルペンの不飽和結合が、銀イオンと多点でM-π結合を形成し、金属イオン周りを中心に長鎖テルペンが屈曲した構造を形成していることが明らかとなった。さらに、溶液中においても同様の屈曲構造が形成されていることを、「M-π型テルペン錯体」の2次元NMR測定を実施することで明らかにした。以上の結果は、金属イオンとの錯体形成により、長鎖テルペンのコンフォメーションを特異な立体構造に固定化できることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り長鎖テルペンと遷移金属イオンとの錯体形成により、「M-π型テルペン錯体」の合成に成功した。また、金属イオンとの錯体形成により、長鎖テルペンのコンフォメーションを特異な立体構造に固定化できることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本年度に引き続き、「M-π型テルペン錯体」の合成条件とその立体構造の解析を実施する。具体的には、長鎖テルペンの種類や金属イオンの種類・核数が、「M-π型テルペン錯体」の立体構造に与える影響を評価する。加えて、「M-π型テルペン錯体」への有機配位子の付加による長鎖テルペンの立体構造の制御についても検討する。さらに、「M-π型テルペン錯体」の立体構造に特異的な位置・立体選択的な化学反応の探索を進める。
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