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大環状二核錯体を用いた新規可視光駆動型過酸化水素生成系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K04770
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分34010:無機・錯体化学関連
研究機関大阪公立大学

研究代表者

中薗 孝志  大阪公立大学, 人工光合成研究センター, 特任講師 (40802880)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード過酸化水素 / 二核錯体 / 水の酸化
研究開始時の研究の概要

本研究では、新規二核錯体触媒を用いて水を二電子酸化し過酸化水素を生成する可視光駆動型の光触媒反応系の構築を目指す。この新規二核錯体は、酸化還元活性な配位子と酸化還元不活性なルイス酸(Al(III)、Zn(II)など)をから成り、近接した二つのルイス酸の相互作用によって水の酸化反応の促進が期待できる。触媒機能評価には修飾電極を用いた電気化学的手法をはじめに検討する。さらに、水溶液中で光化学的な水の二電子酸化を行う。最終的には、二核錯体触媒を修飾したフォトアノードを用いた新規光電気化学セルの構築をすることで高効率な過酸化水素生成系の達成を目指す。

研究実績の概要

現在、地球温暖化や化石燃料の枯渇といった環境問題を背景に、太陽光のエネルギーを化学エネルギーに変換する水の可視光分解反応系の開発が期待されている。この反応は水の四電子酸化反応である酸素発生とプロトン還元による水素発生反応から成り立つ。酸素発生反応は、対となる水素発生反応進行の際に必要な電子とプロトンを得る極めて重要な反応であり、盛んに研究されている。しかし、得られる酸素自体にあまり意味はない。一方で水を二電子酸化すると過酸化水素が得られる。過酸化水素はそれ自体が有用な漂白剤、酸化剤など、多様な用途で利用されている。それだけでなく、将来の電池燃料として期待されている。そのため、水の可視光分解反応における水の四電子酸化を二電子酸化に置き換えた水の可視光分解系は、より有用な新しい人工光合成系となりうる。水の二電子酸化を促進する分子触媒としては、アルミニウムや亜鉛のポルフィリン錯体のみが知られている1。
本研究では水の二電子酸化の新たな触媒として、配位子に二重N-混乱ヘキサフィリン(DNCH)、中心金属に酸化還元不活性なルイス酸 (Ga3+、Zn2+) を持つ二核金属錯体M2DNCHに注目した。本研究では、[M2DNCH]の水の二電子酸化触媒活性について電気化学的に評価した。ディスク電極に触媒をキャスト法によって修飾し、pH 10の炭酸緩衝液中で回転リングディスク電極を用いて触媒活性を評価したところ、過酸化水素の生成に起因するリング電流の増加が確認できた。従ってこれらの錯体が水の二電子酸化触媒として機能することが明らかになった。しかしまだ反応選択性が低いため、反応のpHや触媒の担持方法を検討し、改善を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

[Zn2DNCH]および[Ga2DNCH]Cl2が水の二電子酸化反応による過酸化水素生成に対して触媒活性を持つことを明らかにした。また、両錯体の触媒活性の比較により、中心金属のルイス酸性が高いほど触媒活性が向上することが分かった。これをヒントに、今後は当初予定していた異種金属錯体の触媒活性の検討を行っていく予定である。また、これまでの研究では過酸化水素生成の反応選択性が低く、反応条件などの見直しが必要である。また、光化学的な水の酸化反応による過酸化水素生成はまだ実現できていないため、新たな光増感剤の合成も含めて検討する必要がある。反応条件検討がまだ完了していないため、反応機構の解析に関する実験はまだ行っていない。

今後の研究の推進方策

回転リングディスク電極による[M2DNCH]の過酸化水素生成に対するファラデー効率が現状では低い。これは触媒の担持量や担持方法、溶媒のpHを最適化することでこの効率を向上させることができると考えている。また、触媒同士が重なると反応選択性に影響が出ることも予想される。そこで、触媒を単分子層で修飾する方法を導入することを検討している。また、反応条件を検討する。まず、過酸化水素が安定な酸性溶液中で反応を実施する予定である。生成した過酸化水素を回収する方法も検討していく予定である。さらに電極材料の変更も検討する予定である。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] High Power Density of a Hydrogen Peroxide Fuel Cell Using Cobalt Chlorin Complex Supported on Carbon Nanotubes as a Noncorrosive Anode2024

    • 著者名/発表者名
      Hashimoto Kazuki、Nakazono Takashi、Yamada Yusuke
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry

      巻: 63 号: 2 ページ: 1347-1355

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.3c03857

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Selective Crystallization of Linkage Isomers, [RhIII(NCS)(SCN)5]3- and [RhIII(SCN)6]3-, to Investigate Structural <i>Trans</i> Influence and Thermal Stability2023

    • 著者名/発表者名
      Mukai Miki、Hagiwara Seiya、Tanaka Rika、Tabe Hiroyasu、Nakazono Takashi、Yamada Yusuke
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry

      巻: 62 号: 44 ページ: 18098-18107

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.3c02292

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 電気化学測定を用いた鉄クロリンによる水の酸化反応機構の検討2024

    • 著者名/発表者名
      光田凌, 中薗孝志, 山田裕介
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 二重N-混乱ヘキサフィリン二核金属錯体を触媒とする水の光分解反応への挑戦, 中薗孝志2023

    • 著者名/発表者名
      中薗孝志
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 可視光駆動による水の酸化反応におけるコバルトクロリン錯体の触媒活性2023

    • 著者名/発表者名
      光田凌, 橋本和樹, 中薗孝志, 山田裕介
    • 学会等名
      第132回触媒討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 亜鉛を含むシアノ架橋配位高分子の水中希薄過酸化水素に対する吸着剤としての特性2023

    • 著者名/発表者名
      八田 浩紀, 中薗 孝志, 山田 裕介
    • 学会等名
      錯体化学会第73回討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] カーボンナノチューブ上に担持したコバルトクロリン錯体を負極触媒に用いた過酸化水素燃料電池の構築2023

    • 著者名/発表者名
      橋本和樹, 中薗 孝志, 山田 裕介
    • 学会等名
      錯体化学会第73回討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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