研究課題/領域番号 |
23K04771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
黒田 孝義 近畿大学, 理工学部, 教授 (80257964)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | スピンクロスオーバー / 鉄錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
ある種の金属錯体においては、そのスピン状態(電子の詰まり方)が、温度や光などの外部刺激によって変化し、高スピン状態と低スピン状態間を相互に変換することが知られている。これをスピンクロスオーバー(SCO)錯体と呼び、スイッチング素子やメモリーデバイスとしての応用が期待されている。本研究では、鉄のSCO錯体における磁気特性が、錯体分子間に働くπ―π相互作用や、F...H相互作用などの弱い相互作用により、どのような影響を受けるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、スピンクロスオーバー(SCO)現象を示す鉄(II)qsal系錯体に対して、種々の置換基導入や、新たな配位子設計を行い、それらの構造と磁性を明らかにすることにより、ハロゲン置換HqsalX系で見られた遅い磁気転移現象を示す原因を明らかにすることを目的としている。これまでの検討で、HqsalX系では、Xが6FでFe(II)、及びXが6ClでFe(III)の場合に遅い磁気転移が観測されることが明らかになっている。この遅い磁気転移というのは、通常のSCOとよく似ているが、HSからLSへの転移がおそく、磁気測定時の温度走査速度が遅い場合にのみ観測される現象のことであり、温度走査速度が早い場合には、HSのままでSCOが起こっていないと勘違いしてしまうものであり、光励起の磁気転移現象(LIESST)と同様に温度励起の磁気転移現象(TIESST)とも呼ばれる現象である。令和5年度はこの現象が、配位子HqsalXのみによるものか、あるいは類似の配位子系においても観測されるものかを明らかにする目的で、Hqsal系と類似の配位構造を有しながら、周辺部位の異なるHqapXやHqanなどの新たな配位子系を設計し、この系の鉄(II)錯体におけるSCO現象の有無を検討した。その結果、HqapX系においては、X=Fでは400 K以下でLS、X=Clでは転移温度が約390K、X=Brでは約380Kで緩やかなSCO現象を起こすことが明らかになった。一方、Hqan系においては、qan-1及び、qan-3でLSを示したが、qan-2では、203 K及び230 Kに転移温度を有する二段階の急峻なSCOが観測された。この場合ヒステリシスは観測されていない。今後はこれらの構造を明らかにすると共に、遅い磁気転移現象が起こるかどうかについても検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Hqsal系とは異なる周辺部位を有する新規な配位子系HqapXを設計し、それらの鉄(II)錯体においてもSCO現象を示すことを明らかにした。鉄(II)qsal系錯体における遅い磁気転移現象を示す原因を明らかにする上で、類似の配位構造を有する錯体系におけるSCO現象の結果は重要である。よって、本研究は概ね計画通り順調に推移していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
SCO現象を示す鉄(II)qap系錯体に対して、種々の置換基導入を行い、それらの構造と磁性を明らかにすることにより、遅い磁気転移現象を示す原因を明らかにすることにつなげる予定である。
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