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疎水空間内に活性制御官能基を有する金属酵素モデルの創製

研究課題

研究課題/領域番号 23K04777
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分34010:無機・錯体化学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

岡村 高明  大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (90252569)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード疎水空間 / 金属酵素モデル / 活性制御 / モリブデン / チオラート
研究開始時の研究の概要

金属酵素の高い触媒活性の再現には、旧来のモデル錯体のように活性中心を錯体化学的に模倣しただけでは不十分である。活性中心の配位構造を良く再現した構造モデルでも酵素本来の基質を生成物へと変換できない例は多く知られている。本研究では、モリブデン・タングステン酵素に着目し、疎水空間内で活性中心を近傍のアミノ酸残基側鎖(活性制御官能基と呼ぶ)と共に再現し、難反応性基質の触媒的変換反応の実現を目指す。活性制御官能基は、基質認識部位や酸塩基触媒として作用する。このような新世代の金属酵素モデルは、環境負荷低減型の触媒開発の設計原理に繋がり社会への波及効果が期待できる。

研究実績の概要

本研究では、モリブデン酵素の1種であるキサンチン酸化酵素(XO)や亜硫酸酸化酵素(SO)など活性中心近傍のアミノ酸残基が活性に必須となる金属酵素に着目しモデル錯体の研究を行う。酵素活性部位を錯体化学的に再現するという従来の方法に加えて基質認識部位や酸塩基触媒となるアミノ酸残基側鎖(活性制御官能基と呼ぶ)を疎水空間に内包した新世代の金属酵素モデルを創製し、従来のモデル錯体では達成できなかった難反応性基質の触媒反応を行うことを目的とする。嵩高い疎水基と非極性溶媒により形成される疎水空間は水素結合など弱い相互作用を保持するとともに分子間反応を抑制することで反応中間体を安定化する。本年度は疎水空間を内包した新世代の金属酵素モデル創製の基礎データの収集を目的として様々な非常に嵩高く疎水的なアシルアミノ基を持つアレーンチオラートコバルト錯体を合成し、立体障害が配位構造に与える影響を系統的に調べた。置換基の嵩高さの増加によりチオラートの配位数は4から3,2へと減少し、2の場合は2つアミド基の酸素も配位した歪んだ正四面体構造となった。最も嵩高い場合は配位子が1つのみ配位した他に類の無い特異な錯体を得た。また、非対称に2つのアシルアミノ基を導入したアレーンチオラート配位子の場合、嵩高さの増加により3つの構造異性体の内の1つが溶液中で優先的に生成することが明らかになった。また、金属中心周りの嵩高さについて配位子の占有率を可視化することで定量的な議論に成功した。SO、XOモデル錯体として両側に従来のものより嵩高いアシルアミノ基を持つ対称アレーンジチオラート配位子を新たに合成し、モリブデン錯体を形成させることで予備的な知見を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

非常に嵩高いアシルアミノ基を持つ対称アレーンジチオラート配位子は従来の方法を改良することにより合成可能となったが、反応が極めて遅く予期せぬ副反応を伴い分離精製を困難にして収率の低下を招いた。収率が低いながら配位子は合成できたが、モリブデン錯体の形成が著しく困難となり断念せざるを得なかった。しかし嵩高さを軽減することで目的の錯体を得る事に成功した。これらの条件検討に長時間を要したことに加え、当初予定していた研究協力者の減少により目標の予定より遅れる結果となった。

今後の研究の推進方策

当初予定していた対称アレーンジチオラートモリブデン錯体の合成が困難であったことから一旦これを中断し、本来の目的である非対称なアレーンジチオラートの合成を進める。具体的には3,6-ジアミノベンゼン-1,2-ジチオラートの片方のアミノ基のみを非常に嵩高いアシルクロリドを用いてアシル化し、残りのアミノ基を別の比較的小さいアシルクロリドでアシル化することで非対称アレーンジチオラート配位子を得、これを用いてモリブデン錯体を合成する。まず、ピバロイル基のような簡単なアシル基を用いて合成条件の検討を行い基礎データを収集する。次に当初の計画に従いカルボキシ基、チオール基やグアニジノ基などの官能基を有するオリゴペプチドを結合させてXO、SOモデル錯体のための配位子を完成させる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Syntheses and Structures of Arenethiolato Cobalt(II) Complexes Containing Acylamino Groups: Steric Effects of Bulky Ligands on Coordination and Geometry2023

    • 著者名/発表者名
      Tomita Yusuke、Okamura Taka-aki、Umeda Yuki、Nishimoto Koichiro、Yamashita Satoshi、Onitsuka Kiyotaka
    • 雑誌名

      Inorganic Chemistry

      巻: 62 号: 22 ページ: 8678-8691

    • DOI

      10.1021/acs.inorgchem.3c00849

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Living Cyclocopolymerization via Alternating Insertion of Alkyl Isocyanide and Allene to the Organonickel Complex2023

    • 著者名/発表者名
      Kanbayashi Naoya、Yamamoto Ryoga、Okamura Taka-aki、Onitsuka Kiyotaka
    • 雑誌名

      Macromolecules

      巻: 56 号: 21 ページ: 8658-8665

    • DOI

      10.1021/acs.macromol.3c01689

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 嵩高い疎水性ジチオラート配位子を1つ持つモリブデン酵素モデルの合成2023

    • 著者名/発表者名
      中原 花菜, 築出 ちなみ, 高山 龍馬, 岡村 高明, 鬼塚 清孝
    • 学会等名
      錯体化学会第73回討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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