研究課題/領域番号 |
23K04782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
幅田 揚一 東邦大学, 理学部, 教授 (40218524)
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研究分担者 |
桑原 俊介 東邦大学, 理学部, 教授 (40359550)
池田 茉莉 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40711403)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | サイクレン / 銀食い分子 / 銀イオン / 食虫植物型分子 / 位置選択的配位 / アミン / アミド / カルバメート |
研究開始時の研究の概要 |
これまで申請者は大環状12員環テトラアミン(サイクレン)の窒素原子に4つの芳香族側鎖を導入したテトラアームドサイクレンを開発し,銀イオンの添加によって芳香環側鎖が動的に配座変化することで様々な機能を発現する銀食い分子(Argentivorous Molecules)を開発してきた.本研究ではこれまでに開発した銀食い分子の化学をさらに発展させハエトリソウ型分子の化学に展開することを目指す.
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研究実績の概要 |
2023年度は(1)スポンジ機能を有する分子,(2)合成時の予期せぬ副生成物から派生した新規大環状分子,および(3)複数の同種類の配位部位を持つ配位子が,位置選択的に金属イオンを配位することができる超分子について検討した. (1)側鎖に剛直なPh-C≡C-CH2-基を導入したテトラアームドサイクレン(L1)をアセトニトリル(AN)から再結晶すると,L1の分子の隙間にANを包接した錯体(有機包接結晶)となることを見出した.この錯体はAN以外の溶媒からはこのような錯体を形成しないこと,およびANとMeOHの混合比が1/9の溶液から再結晶しても,ほぼ定量的にえられることから,L1はANを排他的に取り込む分子スポンジであることがわかった. (2)12員環のテトラアミンであるサイクレンの原料として合成しているジオキソサイクレンはジエチレントリアミンとイミノ酢酸ジエチルの環化反応で約25%の収率で得られる.本研究ではその合成過程で,サイクレン環にCO2が挿入し,環骨格内にアミン,アミド,カルバメートの三種類の官能基を含む新規な14員環大環状生成物が得られることを見出した.また,どの段階でCO2が挿入されるかも確認した. (3)テトラアームドサイクレンを3個直線状に連結し,両末端のサイクレンに導入した芳香環側鎖と中央のサイクレンに導入した芳香環側鎖上の置換基を変えて,各芳香環側鎖上の電子密度を変化させた新規配位子(L2)を合成した.L2をAg+と錯形成させたところ,電子密度が高い芳香環側鎖を導入した両末端のサイクレンからAg+と錯形成することを見出した.また,両末端と中央のサイクレンの芳香環側鎖を入れ替えた分子では,中央のサイクレンから先にAg+と錯形成した.これらの結果より,テトラアームドサイクレンを連結した分子は位置選択的な配位を示すことを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初目標としていた研究内容の半分のテーマに関して報文を公表することができ,さらに予期せぬ副生成物から派生した新しい大環状化合物の化学も発展させることができた.その結果,5報の論文を公表することができたことから当初の計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,(1)位置選択的配位の研究をより進展させるとともに,(2)クリプタンド型化合物の合成も進めていく. 2025年度は,大環状化合物の高選択的・高速・高収率合成法の構築を進める.
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