研究課題/領域番号 |
23K04794
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
田代 充 明星大学, 理工学部, 教授 (40315750)
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研究分担者 |
小島 正樹 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (90277252)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 含フッ素化合物 / 分子間相互作用 / リガンド / 標的タンパク質 / 核磁気共鳴法 / 横緩和時間 / フッ素化合物 / レセプター / スクリーニング法 |
研究開始時の研究の概要 |
汎用型の1H-タンパク質選択照射を用いる核磁気共鳴(NMR)法では、複雑な構造を有する含フッ素化合物に対処できない。19Fをマーカーとすることで複雑な1Hシグナルの影響を回避し、広範な含フッ素医薬に適用できる創薬スクリーニング法を構築する。ドッキングスタディを主としたインシリコデザインの活用も行う。 医薬を中心とした含フッ素化合物の有用性は認識されているが、その解析手法は限定されている。NMR法から求めることが可能な横緩和時間には、分子運動が鈍くなると横緩和時間は短くなる相関がある。これを取り入れ、信頼性の高い含フッ素リード化合物の探索法を確立する。
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研究実績の概要 |
本申請課題では、リガンドをマーカーとして、抗がん活性、抗ウイルス活性などを有する含フッ素化合物に焦点を当てた測定法の開発を目的としている。19Fをマーカーとすることで、1Hシグナルの重なりによる障害を回避する。更に、本法は31Pをマーカーとすることも可能であり、核磁気共鳴法に加えてドッキングスタディを主としたインシリコデザインの活用も行い、標的タンパク質との親和性における19Fの特性を解明する。 「1Hから19F飽和移動ではなく、19F-横緩和時間を指標とした異なる原理に基づいたアプローチにより、含フッ素化合物の検出に特化した創薬スクリーニング法の構築は可能か」を学術的「問い」として、次に示す核磁気共鳴法によるスペクトル測定・解析を行った。タンパク質としてヒト血清アルブミン、およびリゾチームを用い、含フッ素化合物としてジフルニサル、フレロキサシン、フルチカゾンを用いた。(1)含フッ素化合物のみ、(2)含フッ素化合物+タンパク質、の2種類の試料を調製し、試料(2)について1H照射-1H検出飽和移動差(STD)スペクトル、およびエレクトロスプレーイオン化質量分析法により複合体形成を確認した後、19F-横緩和時間(T2)を測定し、複合体形成による19F-T2の変化を観察し、スクリーニング法としての有効性を評価した。 上述した含フッ素化合物であるフルチカゾンは広範囲に1Hシグナルが観測されるため、汎用性の高い1H照射-1H検出STD法が適用できない。その理由はタンパク質の1H選択照射が困難なためである。本申請課題では、サンプル依存性がなく、測定も容易な新たなアプローチによる創薬スクリーニング法の構築を目指しており、1H選択照射を用いない逆NOEポンピング法にも着目し、その有効性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医薬を中心とした含フッ素化合物の有用性は認識されているが、その解析手法は限定されている。核磁気共鳴(NMR)法では、原子核が励起状態からエネルギーを放出し、基底状態に戻る時間を縦緩和・横緩和時間として計測できる。このうち横緩和時間は、分子運動の速さに対して単調に変化する。具体的には、分子運動が鈍くなると横緩和時間は短くなる。この相関に基づき、19F‐横緩和時間をスクリーニング法の指標として取り入れた。 汎用型の1H-タンパク質選択照射を用いるNMR法では、複雑な構造を有する含フッ素化合物に対処できない。19Fをマーカーとすることで、複雑な1Hシグナルの影響を回避できる。現時点で、数種類の含フッ素化合物を対象として、19F-縦緩和時間(T1)、および横緩和時間(T2)を測定し、T1では分子間相互作用に関する指標は得られなかったが、T2が薬剤スクリーニングにおける有効な指標として使用できることが明確になった。 広範囲に1Hシグナルが観測されるリガンドには適用できないSTD法の問題点、および医薬分野における含フッ素化合物の有用性を踏まえ、19F-横緩和による19F‐シグナルの減衰を活用することにより、信頼性の高いスクリーニング法としての目途が立つものと期待できる。 19F-T2以外に、1H選択照射を用いない逆NOEポンピング法の評価も併行して行っている。現在、含フッ素化合物のみの試料で分子間相互作用を示すシグナルが観測されないことを確認し、含フッ素化合物+タンパク質の試料で測定条件の最適化を行っている。この測定では、広範囲に1Hシグナルが観測されるフルチカゾンを用い、タンパク質としてリゾチームを用いて複合体解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、含フッ素化合物として比較的水溶性であるジフルニサル、フレロキサシンを主に使用している。ジフルニサルは2原子のフッ素を含む非ステロイド系抗炎症薬であり、ヒト血清アルブミンは代謝産物や薬剤を運搬する機能をもつタンパク質である。この複合体の結晶構造がX線構造解析により決定されている(PDB: 2BXE)。 NMR法では、ジフルニサルの19Fシグナルの減衰、および19F-横緩和時間変化を測定し、2原子の19Fについてヒト血清アルブミンとの親和性を定量化する。この結果を、結晶構造を基にしたドッキングスタディにより評価し、フッ素導入の利点を活性の観点から合理的に説明できるか検討する。結晶構造とNMR法の結果に高い相関性が見られない場合、溶液中での結合状態のシュミレーション解析を通して、19Fをマーカーとする本法の信頼性を評価する。また、19Fの元素としての特異性がヒト血清アルブミンとの親和性において、直接・間接的にどのように貢献するかをドッキングスタディにより解明する。 19F-横緩和時間以外に、1H選択照射を用いない逆NOEポンピング法の有効性も継続して行う。含フッ素化合物として、複雑な1Hスペクトルを有するフルチカゾンを使用し、タンパク質としてリゾチームを使用する。フルチカゾンが水の難溶性であるため、溶媒組成の検討が必要になる。
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