研究課題/領域番号 |
23K04802
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鈴木 正康 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (70226554)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 近接場酸素イメージング / 表面プラズモン増強蛍光 / 表面プラズモン共鳴 / 蛍光酸素センサ / 細胞分析 |
研究開始時の研究の概要 |
酸素応答性蛍光色素[Ru(phe)3]Cl2と、表面プラズモン増強蛍光(SPEF)を利用した近接場顕微酸素イメージング法を創製する。水溶液中で使用できる金薄膜を用いたセンサ素子では表面プラズモン共鳴(SPR)は光源波長700~900nmでしか測定できず励起波長が480nmの[Ru(phe)3]Cl2はSPRに基づくSPEFでは測定できなかった。本研究では研究代表者が開発した490nm光源でのSPR及びSPEFの測定が可能なCytop挿入SPRセンサ基板を用いて[Ru(phe)3]Cl2のSPEF測定に基づく近接場顕微酸素イメージング技術を創製し、細胞の呼吸活性計測の高感度化を図る。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、まず酸素応答性蛍光色素[Ru(phe)3]Cl2を、SPRセンサ基板の金薄膜上に、イオン交換樹脂であるNafionを用いて固定化した。そして[Ru(phe)3]Cl2が励起可能な波長490nmの光源を用いてSPEF(表面プラズモン増強蛍光)イメージングを行うことで酸素濃度に応じた蛍光強度変化が検出できるか評価した。 水と同等の屈折率を有するCytopを挿入したLR(長距離伝搬)SPR用センサチップの表面にRu(phen)3-Nafion膜をコーティングして、窒素および酸素通気蒸留水に対するSPR-SPEF測定を行った。窒素通気水に対する酸素通気水のSPEF最大強度の減少率は29.8%で従来の蛍光測定による結果よりも酸素応答性が高く、SPEFによる近接場酸素計測は高感度であることが分かった。 これまでLRSPRセンサチップにはCytopを用いてきた。しかしCytopは少量での入手が困難なことや有機溶媒に弱い、膜厚制御が困難などの問題があった。そこでCytopの代わりにフッ化マグネシウムを用いてみることにした。フッ化マグネシウム蒸着膜を挿入したLRSPRセンサチップを用いた場合も、Cytop挿入SPRセンサチップと同等の特性が得られることがわかった。 酸素応答性は従来の蛍光測定より高感度とは言え、得られる蛍光強度はまだ十分とは言えなかった。SPEF強度をより増大するために従来のLED光源に替えてレーザダイオード(LD)を使用した。するとSPR画像に明暗の斑模様のスペックルノイズが生じた。この影響を抑制するためにLD光源に接続された光ファイバを連続的に屈曲させた結果、スペックルノイズの影響を抑制することができた。LD光源を使用することで、LED光源に比べ明瞭で明るいSPEF画像を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SPRセンサチップの金薄膜へのNafionを用いた酸素応答性蛍光色素膜の形成、ならびに波長490nmの光源を用いたSPEFイメージングについては計画通り進めることができ酸素応答性も確認できた。しかしSPEFにより得られる蛍光の強度が十分とは言えない状況にある。そのためSPEFの蛍光強度を増大させる方策の検討に多くの時間を要し、令和5年度に予定していた酸素応答性蛍光色素の形態と近接場酸素イメージングの特性への影響評価についてはほとんど実施できなかった。令和6年度に早急に遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
近接場酸素イメージングに適した酸素応答性蛍光色素膜の形成方法について早急に研究を進め、実際の近接場酸素計測の実験になるべく早く着手する予定である。近接場酸素イメージングについてはまずモデル的な実験系を構築して確認の実験を行い、その成果を基に細胞の計測実験を行う。
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