配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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研究実績の概要 |
金属イオンは生体および環境中において大きな影響を及ぼすため、これらを検出する手法が必要である。その中でも、亜鉛イオンとカドミウムイオンは化学的性質が近いため、2種の金属を見分けられる蛍光センサーの開発が待たれている。本研究ではまず、ベンゼン環を有するN,N’-TriMeOBQDMPHEN (N,N'-bis(5,6,7-trimethoxy-2-quinolylmethyl)-N,N'-dimethyl-1,2-phenylenediamine) を合成し、さらに、置換基をメチル基からエチル基、プロピル基に変換することで蛍光プローブの立体障害を大きくし、配位力が下がるよう調整することでカドミウム選択性を向上させた。その結果、イソプロピル基を有するN,N’-TriMeOBQDPPHEN (N,N'-bis(5,6,7-trimethoxy-2-quinolylmethyl)-N,N'-diisopropyl-1,2- phenylenediamine) が最も優れたカドミウム選択性を示すことを見出した。 続いて、配位子の骨格の窒素原子を酸素原子に変えることで亜鉛イオンへの配位力が弱まり、カドミウムイオンの選択性が向上すると期待されることから、上で開発したN,N’-TriMeOBQDMPHENの位置異性体である、N,N-TriMeOBQDMPHEN (N,N-bis(5,6,7-trimethoxy-2-quinolylmethyl)-N’,N'-dimethyl-1,2- phenylenediamine)のジメチルアミノ基をメトキシ基に置き換えたTriMeOBQMOA (N,N-bis(5,6,7-trimethoxy-2-quinolylmethyl)-2-methoxyaniline)を開発し、そのカドミウムイオン特異的蛍光応答について検討した。N,N-TriMeOBQDMPHENでは、蛍光応答におけるカドミウム選択性がほとんど見られなかったが、TriMeOBQMOAでは、優れたカドミウムイオン選択性を示すことを見出した。さらに、金属錯体のX線結晶構造解析により、塩素架橋カドミウム二核錯体が生成していることを明らかにした。
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