研究課題/領域番号 |
23K04809
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
中原 佳夫 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (10432600)
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研究分担者 |
宮崎 淳 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (50467502)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | シリカナノ粒子 / 近赤外蛍光色素 / 物理吸着 / 水分散性 / 再沈殿 / 蛍光細胞イメージング / 窪み形状 |
研究開始時の研究の概要 |
がんを可視化できる蛍光細胞イメージング剤は、がんの早期発見のための強力なツールであるが、1)近赤外領域で強く発光し、2)水分散性に優れ、かつ、3)生体中で安全に使用できるものはこれまでにほとんど開発されていない。個別の要素を満たしたナノ粒子は存在するが、1)と2)はトレードオフの関係にあり、両立させることは難しい。本研究では凹型シリカナノ粒子を合成し、その窪み部位にアニオン性の近赤外蛍光色素を物理吸着で導入する。このナノ粒子は、励起光が窪みの中の色素に直接届き、最表面に色素が露出しないため水分散性に優れ、生体適合性の高い材料から構成しているので安全性にも優れると期待される。
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研究実績の概要 |
実用性に優れる近赤外蛍光細胞イメージング剤の作製を目指して、近赤外蛍光色素を窪み部位導入したシリカナノ粒子の開発を行った。本年度は、近赤外蛍光色素(オキサジン725)を物理吸着で導入したシリカナノ粒子を合成することで、色素固定化のための条件について検討した。近赤外蛍光色素は加熱や塩基によって変性しやすいため、室温かつ中性条件で色素のシリカナノ粒子への固定化を試みた。カチオン性の近赤外蛍光色素であるオキサジン725のアセトン溶液をシリカナノ粒子水分散液に室温で少しずつ加えて、溶液中で色素を再沈殿させることによって粒子表面にオキサジン725を析出させた(再沈殿法)。その後、遠心分離およびろ過により精製することによって、オキサジン725固定化シリカナノ粒子を得た。消光および蛍光スペクトル測定より、オキサジン725固定化シリカナノ粒子の水分散液では、オキサジン725に由来する消光および蛍光が観測された。また動的光散乱測定により、透過型電子顕微鏡観察から見積られた平均粒径と同程度の平均流体力学直径が示された。これにより、中性・室温条件においてシリカナノ粒子へ近赤外蛍光色素を変性させることなく固定化でき、得られたナノ粒子は良好な水分散性を有していることが示された。また、正に帯電させたシリカナノ粒子にはカチオン性のオキサジン725を固定化できなかったことから、固定化には色素と粒子表面間で静電相互作用が必要であることがわかった。今年度開発した再沈殿法は、他のカチオン性近赤外蛍光色素のシリカナノ粒子への固定化にも活用できると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標は、凹型シリカナノ粒子を合成し、その窪み部位に近赤外蛍光色素を物理吸着で導入して、近赤外蛍光細胞イメージング剤として応用することである。今年度に物理吸着によるシリカナノ粒子への近赤外蛍光色素(オキサジン725)の固定化法(再沈殿法)を確立したことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、窪み部位を有するシリカナノ粒子を合成し、今年度に開発した再沈殿法によって近赤外蛍光色素をシリカナノ粒子に物理的に固定化することを行っていく。また、オキサジン725以外の近赤外蛍光色素のシリカナノ粒子への固定化についても検討を行う。得られた近赤外蛍光性ナノ粒子から順次細胞に導入し、近赤外蛍光細胞イメージング能について調査する。
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