研究課題/領域番号 |
23K04810
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
平山 直紀 東邦大学, 理学部, 教授 (20260557)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | イオン液体 / 金属イオン / キレート抽出 / 溶媒和 / 溶媒抽出 / 溶媒効果 |
研究開始時の研究の概要 |
抽出相溶媒としての疎水性イオン液体には「極性非水溶媒」と「液状イオン交換体」の二つの特性があり,その組み合わせによって多彩な物質分離が期待されているが,総合的な溶媒効果の評価はなされていない。そこで本研究では,構成陽陰イオンの集合体としての寄与と,イオン交換基および交換イオンとして機能しうる個々の構成イオン種としての寄与を切り分けることにより,イオン液体抽出系における溶媒効果を総合的に解析することを目的とする。具体的には,同一抽出系における無電荷種と荷電種の抽出挙動の比較から前者の寄与の評価を,混合イオン液体系やイオン液体-有機溶媒混合系における抽出挙動解析から後者の寄与の評価を行う。
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研究実績の概要 |
錯形成を用いる金属イオンのイオン液体への抽出に際し,抽出相であるイオン液体が溶媒としてどのように寄与するかを系統的に評価するという観点から,以下の研究を実施した。 1.1価2座配位子2-メチル-8-キノリノールを用いるアルミニウム(III)のイオン液体キレート抽出挙動の解析: 立体障害によりアルミニウム(III)と1:3錯体を形成しにくい2-メチル-8-キノリノールを抽出剤としてイミダゾリウム型イオン液体へのキレート抽出挙動を解析した。陽イオンの疎水性が低く陽イオン交換抽出に有利なイオン液体を用いた場合には1:2陽イオン錯体としての抽出がかなり有利に働いたのに対し,陽イオン交換に不利なイオン液体を用いた場合には1:3無電荷錯体としての抽出が支配的であった。期待していた1:2錯体のみの抽出という結果は得られなかったが,イミダゾリウム型イオン液体の1:3錯体に対する親和性が通常の有機溶媒より高いという別の知見が得られ,特別な溶媒和機構の存在が示唆された。また,立体障害のない8-キノリノールを用いた場合との比較から,1:2錯体に対しては両抽出剤間で溶媒としての寄与に特段の差がないことが示唆された。 2.1価2座配位子8-(p-トルエンスルホンアミド)キノリンを用いるインジウム(III)のイオン液体キレート抽出挙動の解析: かさ高いp-トルエンスルホニル基が直接窒素ドナー原子に結合している8-(p-トルエンスルホンアミド)キノリンを抽出剤としてイオン液体へのキレート抽出を試みたところ,1:2陽イオン錯体が抽出種となるという新たな基礎的知見が得られた。配位骨格が同じ8-キノリノール類では見られない現象であり,配位不飽和荷電錯体へのイオン液体の溶媒和効果を評価する一つの指標になると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2-メチル-キノリノール系による抽出で想定外の結果が出たが,溶媒効果の評価という観点では想定程度もしくは以上の新たな知見を得ることができた。次年度には論文として発表できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書記載の内容に従って研究を進めていく。国際学会発表や論文執筆を行っていく。
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