研究課題/領域番号 |
23K04819
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
長田 光正 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (70435402)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | セルロース / キチン / ハイドロゲル / ナノファイバー / 水熱処理 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の石油を原料とした有機材料に代わり,再生可能な天然高分子を基材とした有機材料の合成技術が求められている.さらに最近では,有機材料の使用後に廃棄せず,再利用・循環する技術も要求されている.これらを実現するため,本研究では水だけを用いた反応場で天然高分子材料の合成と再原料化の両立する技術を開発する. 材料合成は,ナノ化分散した天然高分子の水熱処理による高次構造化で実現する.材料使用後の再原料化は,合成とは異なる水熱条件下での低次構造化で実現する.低次構造化された天然高分子ユニットを再び高次構造化することで,水による材料製造・再原料化を実現する究極の材料循環システムの基盤技術を構築する.
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研究実績の概要 |
本研究の計画として、次の3つを掲げている。(1)材料合成:天然高分子の複合化と相・組織制御による材料物性のコントロール、(2)使用後の材料の再原料化:低次構造を保持した選択的分解と分離回収、(3)新材料循環の実現:低次構造化後の原料を用いた材料の再合成。これらの検討を通して、天然高分子を基材とした材料循環システムを実現し,水熱反応場における「低次・高次構造化の方向を切り替えるスイッチング技術」を確立する.令和5年度では(1)、(2)に関する検討を行った。 (1)については、セルロースおよびキチン粉末を湿式解繊処理によりナノファイバー化し、常温の水中に均一分散させた。これらの天然高分子基材と各種物質を混合し、さらに高温高圧水処理や乾燥処理などにより複合材料化した。材料化する際の、温度、時間などの加熱条件の効果を調べた。得られた材料の機械的強度と、組成や処理条件の関係を明らかにした。以上より、従来の化石資源由来の化合物や架橋剤などを含まずに、生体親和性の高い生物由来の原料と水だけを使用した材料を作製した。これらの検討から、材料物性と処理条件の関係を調べており、令和6年度以降も引き続き行う。 (2)については、上記(1)で合成したセルロースおよびキチンを基材とした材料を、高温高圧水処理することによる選択的分解の検討を開始した。また選択的分解後の各成分の分離回収の検討も開始した。これらの検討から、再原料化の可能性を調べており、これは令和6年度以降も行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は順調に達成できている。今年度予定していた(1)材料合成:天然高分子の複合化と相・組織制御による材料物性のコントロールについての検討は予定通り進んでいる。また今年度と来年度で行う予定の(2)使用後の材料の再原料化:低次構造を保持した選択的分解と分離回収についても、分解後の生成物の分析を予定通り行えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は本研究の申請書の内容に従い、昨年度に引き続いて下記の研究項目について進める。 バイオナノファイバーを基材とした材料の合成と分解を目的に、引き続き(1)材料合成の際の天然高分子の複合化と相・組織制御による材料物性のコントロール、および(2) 使用後の材料の再原料化:低次構造を保持した選択的分解と分離回収を行う。分離回収した材料を構成するナノファイバーの動的粘弾性測定、表面電荷測定(ゼータ電位)、ファイバー径(電子顕微鏡)の評価も行う。 当初の予定通り、(3) 新材料循環の実現を目的とした低次構造化後の原料を用いた材料の再合成にも取り掛かる。再合成した材料の性状評価も行う。
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