研究課題/領域番号 |
23K04826
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小池 裕也 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (50360186)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 赤玉土混合ジオポリマー固化体 / 土壌種 / 固化体中結晶相 / 放射性セシウム / 都市ごみ焼却飛灰 / 土壌 / ジオポリマー固化 / 不溶化処理 |
研究開始時の研究の概要 |
都市ごみは減容化を目的に焼却処理が行われるが,それに伴い発生する焼却飛灰には放射性セシウムが濃縮されることがある。焼却飛灰中放射性セシウムは,環境水との接触に伴い容易に環境中へ溶出する可能性がある。そこで,「都市ごみ焼却飛灰の安全・安心な固化処理をめざす」を目標に,都市ごみ焼却飛灰中の放射性セシウムの環境への溶出率0%を目指し,「都市ごみ焼却飛灰・土壌混合ジオポリマー固化法」について研究する。
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研究実績の概要 |
環境に存在する土壌類を用い,既存の不溶化処理法以上の放射性セシウムの溶出抑制効果を得るための「都市ごみ焼却飛灰・土壌混合ジオポリマー固化法」を提案することが目的である。研究の第一段階として,福島県の一般廃棄物焼却施設で採取された都市ごみ焼却飛灰を用いて,都市ごみ焼却飛灰・土壌混合ジオポリマー固化体の作製と評価を進めてきた。2023年度は,ジオポリマー固化の出発原料となる土壌種を,これまで検討してきた,赤玉土,黒土,鹿沼土,パーライトに,軽石,廃陶器(粘土),神奈川県川崎市の実土壌を加えた全7種類に増やして,放射性セシウムの溶出抑制効果を検討した。作製した土壌混合ジオポリマー固化体は,環境庁告示第13号試験(環境省)および長期溶出試験のタンクリーチング試験(国土交通省)により溶出抑制効果を,さらに,一軸圧縮強度試験によりその埋立処理に対する耐久性を評価した。7種類の土壌類を用いた都市ごみ焼却飛灰・土壌混合ジオポリマー固化体は,Cs-137溶出率が 0.4~11.8%と高い溶出抑制効果を示したため,都市ごみ焼却飛灰中Cs-137を固定化できたと考えている。一軸圧縮強度は,0.60~1.56 MPa という結果であり,基準値である 0.98 MPa に満たない固化体もあり,最適な作製条件の検討を進めている。得られた成果は,研究協力学生と学会発表を行うとともに,都市ごみ焼却飛灰中放射性セシウムの溶出抑制効果が高かった都市ごみ焼却飛灰・赤玉土混合ジオポリマー固化体について,並行して分析していた重金属の溶出抑制効果を論文として投稿した。さらに,固化体のX線回折分析装置を用いた結晶相分析より,モスコバイトの存在,ハイドロガーネットの生成と溶出抑制機構との関連について考察も進んでおり,その成果を論文としてまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のポイントは,生活環境に存在する土壌を用いることである。放射性セシウムの吸着能を有する土壌をジオポリマー固化法における活性フィラーとして用いることで,土壌の特性を加えた固化体の作製が可能であると考えている。2023年度は土壌種を増やすことを一つの目標としており,市販の土壌と一般環境に存在する土壌をあわせた7種の土壌類について固化体を作製し,順調に溶出抑制効果を評価できていると考える。具体的には,7種の都市ごみ焼却飛灰・土壌混合ジオポリマー固化体に対して,環境庁告示第13号試験およびタンクリーチング試験による溶出抑制効果の調査結果も得られており,固化体中のCs-137のほとんどが長期的に安定な形態で存在しているという結果が得られた。一軸圧縮強度試験は全ての固化体に対して実施できているが,紫外線照射試験は残存する都市ごみ焼却飛灰量から一部溶出抑制効果が高い検体に絞って実施を行っている。低温恒温恒湿器を使用した環境適応性評価については,電源工事の関連で少し遅れているが,40℃恒温試験は既存の設備でプレ実験できており,2024年度にはすぐに恒湿試験も実施可能と考えている。X 線回折法による結晶分析より結晶構造の観点からその溶出特性や安定性を調査する研究については,結晶相の定性分析の結果,モスコバイトの存在,ハイドロガーネットの生成の溶出抑制効果への関与まで計画通り考察が進んでおり順調である。X線回折分析装置を用いたさらに詳細な結晶相分析を「都市ごみ焼却飛灰・土壌混合ジオポリマー固化法」に対して実施することで,溶出抑制機構の解明に向けた情報収集も進める予定である。最終目標は,都市ごみ焼却飛灰中の放射性セシウムの環境への溶出率 0% のジオポリマー固化法の提案であり,現状では達成できていないためさらに検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
福島県の一般廃棄物焼却施設で採取された都市ごみ焼却飛灰を用いて,7種類の土壌類を用いた固化体により成果を得ているため,焼却飛灰および土壌の種類,さらに試行回数を増やすことで最適な作製条件を検討する。都市ごみ焼却飛灰については,福島県で採取された都市ごみ焼却飛灰の残存量に不安があるため,新規に埼玉県で採取を行った。微量ではあるが,放射性セシウムの含有も確認できており,焼却処理過程の異なる都市ごみ焼却飛灰も並行して検討することで,溶出抑制機構の解明に向けた検討を進める予定である。土壌については,市販の富士砂を試料に加える予定であるが,種類には限度があるため,アルミニウムやケイ素の量や含有鉱物を考慮して混合土壌の検討も考えている。具体的には,赤玉土とパーライトの混合比を変更した固化体を試作しており,強度の増加がみられたため,配合を検討したい。環境適応性評価については,遅れている低温恒温恒湿器を使用した実験を進める。また,最終的な溶出抑制効果の評価のために,あらゆる溶出試験を都市ごみ焼却飛灰に対して実施して,利点と欠点を明確にする予定である。 2024年度は当初の計画通り,蛍光 X 線分析による元素分析およびX 線回折分析による結晶相分析,逐次抽出試験による存在形態分析を進め,土壌混合ジオポリマー固化体の性状解析をさらに進め,溶出抑制機構について考察する。X 線回折分析により得られたデータを正確に分析し,結晶相の定量分析に取り組む。また,現実に即した溶出試験方法として,ライシメーター試験や浸漬遠沈試験,カラム試験により溶出特性評価も準備している。土壌の組み合わせや他の環境試料との組み合わせを検討するとともに,溶出抑制できない放射性セシウムの存在形態を示すことができるように研究を展開する計画である。得られた成果は,関連学会において発表するとともに,論文の執筆もあわせて進めていく。
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