研究課題/領域番号 |
23K04832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
平石 知裕 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 専任研究員 (20321804)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 生分解性物質 / 分解酵素 / 分解菌 / 非分解菌 |
研究開始時の研究の概要 |
生分解性プラスチックの社会実装には「分解機構に裏付けされた生分解性プラスチック設計」が重要であるものの、機構解明に至っていない。プラスチック生分解は様々な微生物・酵素が関与している複雑系であるため、その機構解明には分解菌・非分解菌・分解酵素からなる複雑系全体の包括的解析が必要不可欠である。そこで本研究では、標識した分解菌・非分解菌・分解酵素を用いてプラスチック分解を解析し、これらの相互関係・作用を明らかにする。さらに、プラスチック自身の分解挙動をリアルタイムで測定して分解イベントを抽出し、分解イベントと分解菌・非分解菌・分解酵素の相互作用を考慮したプラスチック生分解機構を考案する。
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研究実績の概要 |
海洋プラスチック問題などから生分解性プラスチックが注目されているが、生分解の環境依存性などにより社会実装の範囲はまだ狭い。その拡大には「分解機構に裏付けされた生分解性プラスチック設計」が重要であるものの、機構解明に至っていない。プラスチック生分解機構解明を困難にしている要因は、①生分解は微生物・酵素などが関与している複雑系、それにもかかわらず②単純系である酵素分解に関する知見が主に蓄積されてきたためといえる。従って、プラスチック生分解機構の全容解明には、分解菌・非分解菌・分解酵素からなる複雑系全体の包括的解析が必要不可欠である。そこで本研究では、標識した分解菌・非分解菌・分解酵素を用いてプラスチック分解を解析し、これらの相互関係・作用を明らかにする。さらに、プラスチック自身の分解挙動をリアルタイムで測定して分解イベントを抽出し、分解イベントと分解菌・非分解菌・分解酵素の相互作用を考慮したプラスチック生分解機構を考案する。 本研究では、まず、分解イベントがいつ・どのように起きるのかを明らかにすることを目指して、QCMを用いて細菌付着からバイオフィルム形成への過程をリアルタイム観測できる系の構築を行った。プラスチック素材として土壌・河川・海水で分解されるPHBHを使用し、分解菌として海洋から単離されたC. testosteroniを用いた。まず、PHBHフィルムをQCM基板上に作製した後、分解菌C. testosteroniを添加してリアルタイム観測条件を検討した。その結果、分解菌の吸着とそれに続くPHBHフィルムの分解をリアルタイムに観測可能な条件を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、PHBH微生物分解における分解イベントの抽出とその分解イベントに関連づけた分解菌・非分解菌・分解酵素の相互作用を考慮したプラスチック生分解機構の解明を目指す。 本研究の達成には、まず、研究初期において「分解イベントを抽出可能な高感度QCM測定・解析系の構築」が重要となるが、測定の高感度化と測定の容易さはトレードオフの関係になりがちであり、「高感度測定・解析系の最適化」に予想以上に時間を要したため、当初の予定より研究計画全体がやや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに「QCMを用いたプラスチック分解挙動のリアルタイム計測系の構築」をほぼ確立できたことから、「プラスチック分解における分解イベントの抽出」の準備は整っている。そこで、2024年度以降では、プラスチック分解イベントの抽出を実施し、必要に応じて、電気化学測定によるプラスチック膜厚の解析を独立に行うことで、分解イベントの詳細情報を獲得していく予定である。さらに、C. testosteroniなどの細菌の全ゲノムシークエンスを実施し、ゲノム情報に基づいた蛍光標識手法の確立を目指す。
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