研究課題/領域番号 |
23K04836
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
|
研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
高田 健司 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (10772171)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | バイオベースポリマー / ポリエステル / 高分子反応 / 光応答ポリマー / 桂皮酸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、光応答材料として有望な桂皮酸を基盤として、①「ミクロ相分離を引き起こす桂皮酸系ポリマーの分子設計の確立」、及び②「それら相分離制御による光応答性の精密制御に関する研究」を展開し、自由自在な変形性を示す光応答材料の創製を目的とする。光によって機能を発揮する桂皮酸系ポリマーは、将来の持続可能な社会の中での新機能材料開発において重要な役割を担う。しかしながら、桂皮酸の光に対する反応性や機能は精密に制御できておらず、光応答材料としての可能性は未知数である。本研究の達成により、新たな光応答機構に基づく材料設計論が展開でき、環境にやさしいソフトロボットなどへの応用が期待できる。
|
研究実績の概要 |
本研究では、様々な構造の主鎖型桂皮酸系ポリマーの変形メカニズムを明らかにすること、およびそれを応用した新しい光応答材料の創製を目的とする。全体の実施計画として、①桂皮酸ユニットのポリマー末端導入によるマクロモノマー化、②桂皮酸グラフトポリマーの合成、③桂皮酸ブロックポリマーの合成、④ブロック/グラフトポリマーのミクロ相分離と光応答挙動の評価である。本年度は、「①桂皮酸ユニットのポリマー末端導入によるマクロモノマー化」のための桂皮酸官能基化マクロモノマーの開発を目指して、有機分子触媒(強酸/強塩基)を用いた重合、もしくは二重結合に対するクリック反応による末端に桂皮酸を有したポリマーの合成を行った。 ①p-クマル酸やm-クマル酸、カフェ酸などのヒドロキシ置換型の桂皮酸を官能基保護することで、重合の停止剤として末端官能基を検討した。重合の結果、これまでと同様に末端への桂皮酸導入は確認されたが質量分析等による定量化には至っていない。この結果を受け、リビング重合のみの検討では桂皮酸末端のポリマーを合成することが困難であると判断し、異なるアプローチでの検討も開始した。 ②上記と異なるアプローチとして、桂皮酸の二重結合へthiol-ene反応を行うことでアルキルチオールを側鎖に有する桂皮酸マクロモノマーの合成を検討した。Thiol-ene反応にあたり、光開始と熱開始の条件で検討を行った。その結果熱によるthiol-ene反応が有効であると判明し、今後は熱開始のthiol-ene反応により桂皮酸マクロモノマーの合成を検討していく。 これら検討は、桂皮酸ユニットを末端に配したグラフト高分子の合成につながり、桂皮酸に付加させる官能基により光応答性の制御を期待している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リビング重合の末端官能基化法を確立という分野は非常に煩雑な作業を必要とするため、重合の条件出しや、測定の条件出しなどに想定以上に時間がかかってしまった。また、得られる結果から官能基化率が低いことが予想されたため異なるアプローチによる桂皮酸官能基化に切り替えたことも進捗に後れをもたらしたと考えている。しかしながら、当該年度において条件が見出されつつあり、次年度以降はこの遅れを取り戻せると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた桂皮酸官能基化マクロモノマーを用いて、従来から光応答性のある桂皮酸と重縮合することでグラフトポリマー化の検証を行う。桂皮酸マクロモノマーは、これまでの結果からthiol-ene反応による合成が簡便であると述べたが、thiol-eneでは、官能基種が限られてしまうという将来的な問題も考慮されるため、引き続きリビング重合による官能基化の検証も行う予定である。
|