研究課題/領域番号 |
23K04842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
佐藤 絵理子 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30422075)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 光二量体 / 熱解離 / 酸触媒 / 加水分解 / 架橋ポリマー / 光二量化 / 解体性材料 / 脱架橋 |
研究開始時の研究の概要 |
カルボキシ基やアミノ基など反応性官能基を有する置換アントラセン光二量体の熱解離挙動を外部因子(例えば、溶媒や酸・塩基との相互作用)および内部因子(例えば、保護基の立体障害を利用する位置異性体の選択的合成)により精密制御し、熱解離温度の向上と特定条件下での熱解離促進の両立を図る。これらの置換アントラセン光二量体とエポキシ化合物などの反応により熱的に脱架橋可能な架橋ポリマーを合成し、高い耐熱性と特定の外部刺激に応答して迅速に熱的に脱架橋可能な相反する性質を併せ持つ易解体性材料の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、熱的に安定な置換アントラセン光二量体の解離を特定条件下でのみ促進し、安定性と迅速解離を両立させることを目指し、外部因子による置換アントラセン光二量体の熱解離挙動の精密制御に取り組んだ。予備的検討によって、固体状態では、置換アントラセン光二量体の融点やマトリックス材料との相溶性が熱解離挙動に強く影響することを明らかにしている。これを踏まえ、まず均一溶液系で精密かつ定量的な解離挙動の評価を行った。イミノ基を導入したアントラセン誘導体およびその光二量体の合成を行い、モデル化合物として用いた。加水分解を促進する水と酸の添加量に注目し、イミノ基の加水分解およびアントラセン光二量体部位の解離挙動を詳細に追跡した結果、イミノ基を導入したアントラセン光二量体は酸触媒によって解離が著しく促進されるが、イミノ基が加水分解しアルデヒド基に変換されると解離が抑制されることを明らかにした。また、イミノ基にヒドロキシアルキル基を導入することで加水分解が促進されることも明らかにしている。これらの基礎的知見を高分子の分解制御に応用することを目的とし、イミノ基含有アントラセン光二量体骨格を導入した線状ポリマーおよび架橋ポリマーの合成にも取り組んだ。二官能アミンおよび三分岐アミンを用い、合成条件を最適化することで分解を抑制した条件下で溶液重合によって線状ポリマーおよび架橋ポリマーゲルを合成することに成功した。架橋ポリマーゲルは室温では熱的に安定であるが、酸触媒存在下では分解し可溶化することを見いだしており、外部刺激により分解制御が可能な高分子材料としての可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り研究を進めている。2023年度計画通り、低分子モデル化合物を用い均一溶液中での解離挙動を詳細に追跡し、特定の官能基としてイミノ基を有するアントラセン誘導体光二量体の解離が特異的に促進されることを明らかにしている。この知見を架橋高分子に展開し、外部刺激により分解制御が可能な高分子材料としての可能性を示している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の成果を展開し、アントラセン誘導体光二量体を脱架橋可能な架橋ユニットとして含む種々の架橋ポリマーの合成を行う。高分子材料への応用を前提とし、無溶媒系での重合を中心に検討し、分解を抑制できる条件下で効率的に架橋ポリマーを合成できる重合条件を検討する。得られた架橋ポリマーについて、解離や加水分解に伴う脱架橋挙動を評価するとともに、脱架橋に伴う物性変化を活用した材料設計を行う。
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