研究課題/領域番号 |
23K04848
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 博正 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (40292528)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 磁性 / ヘリカル / キラル / 高分子 / 導電性 |
研究開始時の研究の概要 |
ヘリカル磁性は反強磁性を示すことが理論的に示されている。本研究ではスピンがキラルなヘリカル状態を形成する「反強磁性ヘリカル導電性高分子」を実現し、その電気伝導性・磁性を評価する。スピンの位置がキラルであればそのスピンの作るダイポールの場もキラルとなる。そしてキラルな構造中に配置されたスピンもキラルな配列になる。この高分子を合成するために、光学活性なヘリカル構造をもつ導電性高分子錯体を液晶反応場で合成する。これにより磁気・光学的異方性の制御可能な反強磁性ヘリカルキラル有機材料の開発を行う。
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研究実績の概要 |
ヘプチルシアノビフェニルとコレステロール(キラルドーパント)の混合コレステリック液晶(サーモトロピック液晶)およびヘプチルシアノビフェニルと天然物質をキラルドーパントとした混合コレステリック液晶を作成した。これに支持塩を加えて液晶電解液とした。これにモノマーを加え、電解重合を行った。その結果、ヘリカル構造を反映した指紋状構造をもつポリマーを得た。得られたポリマーの円偏光二色性スペクトルおよび旋光分散スペクトル測定を行い、光学活性を確認した。また、円偏光電子スピン共鳴によりマイクロ波の吸収異方性を確認した。次にキラルな高分子液晶であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)液晶やエチルセルロース(EC) 液晶を溶媒とし、エチレンジオキシチオフェンやピロールをモノマーとしてFeCl3酸を用いて合成した。この磁性を超伝導量子干渉計を用いて測定した。 円偏光電子スピン共鳴で磁場方向とマイクロ波の伝搬方向で違いが現れたポリマーは光学的な磁気異方性を示したことから、磁気と光学活性に関する共役系高分子の新しい性質を見出すことができた。 高分子液晶中での酸化的化学重合で得られたポリマーの表面構造を偏光顕微鏡で観察した。さらに磁気的な性質を超伝導量子干渉計で測定を行い、χ vs Tおよび磁化ヒステリシス曲線を評価した。またシンクロトロンX線回折により微細構造を評価した。本年度はサンプルの合成と測定方法の工夫を中心に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高分子の合成は順調である。超伝導量子干渉計による磁性測定や電子スピン共鳴測定を行う際のサンプル充填などの最適条件を会得した。
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今後の研究の推進方策 |
ヘリカル構造をもつ共役系高分子のドーピング剤の工夫を行い、反強磁性をもつ高分子の探索を行う。また低分子の系ではFeを含む液晶型の化合物の合成を行い、磁性を評価する。特に液晶を用いた系では、偏光顕微鏡による光学模様の構造を観察し、ヘリカルピッチと光学活性の関連を調査する。
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