研究課題/領域番号 |
23K04849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山延 健 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (40183983)
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研究分担者 |
撹上 将規 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (90567249)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 圧縮 / in-situ測定 / パルスNMR / その場測定 / NMR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では高分子材料の圧縮時のリアルタイムの運動状態の解析のためにin-situ測定可能なパルスNMR装置を開発する。高分子材料の加工時にin-situ測定は延伸に対しては盛んに研究されているが、圧縮時のin-situ測定はほとんど行われていない。実用的には多くの製造工程において圧縮はなされているが、経験的に製造条件を調整しているだけである。本研究では構造・分子運動の面から圧縮の過程を微視的視点から解析するための装置及び手法を開発し、合理的な高分子材料の加工法を開発する
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研究実績の概要 |
本研究の目的は高分子加工時、特に溶融状態の圧縮時のin-situ測定により運動状態を解析する手法を確立することである。NMR法は高分子材料の解析手法として必要不可欠なものの一つである。しかし、一次構造や高次構造への応用がほとんどであり、実用上、特に開発、生産現場ではあまり利用されていない。しかし、NMRは数少ない原子レベルでの緩和現象に関する情報を得ることのできる手法であり、得られた緩和時間は材料が硬い、軟らかいに対応しており、これを定量的に扱うことは実用上は非常に有用な情報である。高分子の成型加工時には金型内では加圧下で溶融した状態である。この状態において最適な成型を行うための条件は温度を変化させながら最適条件を決めるのが一般的である。これは材料、エネルギーのロスが非常に大きい。本研究の情報を使うことで製品開発、工程管理、品質管理などに応用することが可能となり、様々な工程の効率化につながる。 2023年度は装置の設計の見直しを行った。当初は表面プローブを利用する予定であったが予算の関係で表面プローブの導入が困難となった。そこで、従来の装置に組み込む形式の圧縮装置の設計を行った。NMRは磁場中に試料を入れた状況で測定するために作製する装置が磁化されない材料である必要がある。これに基づいて装置の設計を行った。更に圧縮装置を作製するため非磁性材料、圧縮するためのパワーシリンダなどの部品の購入を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はNMR装置内で高分子を圧縮するための装置設計を行った。一般的な高分子材料を圧縮成型するためには5MPaほどの圧力で成型を行う。力学性能の非常に優れている超高子量ポリエチレンは融点以上においても溶融粘度が非常に高いため六方晶状態で成型する必要があり、六方晶を生成するためには160MPaが必要である。また、ポリエチレンの安定な斜方晶ではなく多型である単斜晶生成するための圧力は520MPaの圧力が必要である。直径5mmの円筒中でこの圧力を発生するためには約3kNの推力のパワーシリンダが必要である。油圧での圧縮も考慮しましたが、かなり大きなオイルタンクが必要となるため電動のパワーシリンダを選択した。これだけの圧力を加えると装置全体の強度も必要である。 測定は磁場中で行うため、装置の磁性にも考慮が必要ある。磁石周りは強度を考慮しつつ非磁性のステンレスを採用し設計した。また、圧力としても非常に高いために測定時に安全を考慮した機能を付加してある。 年度終了時には設計が終了し、部品の納品を待っている段階です。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度で設計した圧縮装置の部品が順次納品されるので、部材の加工、組み立てを行う。圧縮装置は8月頃には組み立てが完了する予定である。組み立て後は動作確認(圧縮状況、圧力測定)を行った後、NMR装置への組み込みを行う。装置への組み込み後は信号の観測の確認を行った後、最初にポリウレタンフォームを用いて加圧状態での測定を行い、データの解析を行う。そのデータとポリウレタンフォームの加圧下での運動状態解析を行い、劣化との関連を議論する。
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