研究課題/領域番号 |
23K04850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂本 健 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50626223)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 液晶 / 自己組織化 / 高分子 / ナノチャネル / 水処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、水中の特定のイオン・分子を効率的に吸着・回収し、そして吸着材が再利用できる材料を開発する。液晶の自己組織化を利用して、ターゲットを選択的に吸着するナノ空孔を有する高分子を得る。同時に液晶の運動性を利用することで、外部刺激による可逆的な変形によって、ナノ空孔とターゲットの相互作用能が外部刺激で大きく変化する機構を組み込む。これにより、ナノ空孔から取り込んだターゲットを効率的な放出を可能とする。
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研究実績の概要 |
親水性部位と疎水性部位のブロック構造を有する液晶分子は、サブナノ~サブテンナノメートルレベルで制御されたチャネルを自己組織的に形成する。本研究では、この秩序構造を重合によって固定化することにより、制御された多孔質構造を有する高分子膜を作製し、規則的なチャネルを活用して分離材料としての機能開発を進める。チャネルのサイズやチャネルを構成する官能基など、チャネルの構造と機能の関係を解明する。そして、チャネルに刺激応答部位を導入することにより、分離特性のさらなる向上や新たな機能発現、昨日の動的制御を目指している。 研究1年目である2023年度は、分離膜材料に用いる液晶分子の機能性官能基と、液晶分子の基本構造に関する検討を進めた。機能性官能基は、液晶ナノ孔の孔壁を構成する部分であり、チャネルの分子認識能に強く影響を与えることが知られている。これまでに報告してきた分子は4級アンモニウムなどのカチオン性官能基を親水性部位として含むが、新たに開発した親水性部位が双性イオン部位である液晶分子について、機能評価と集合構造解析、論文化作業を進めた。 また液晶分子の基本構造についての検討では、透水チャネルとなる親水性部位の割合を増加させた構造の重合性分子を新たに設計・合成した。得られた分子の液晶性および集合構造をしらべ、さらにナノ構造高分子膜を作製した。そして透水膜の作製と機能評価を行ない、作製した膜は当初の狙い通りに高い透水性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ブロック構造を有する液晶が自己組織的に形成する規則的なナノチャネル構造を重合で固定化することにより、ナノ孔を有する高分子材料を開発し、分離材料としての機能開拓を行う。研究1年目である2023年度は、新たな重合性液晶分子を開発・合成し、その液晶分子から作製した膜がナノろ過膜として機能することを実証した。申請時に本研究の主眼とした吸着材料としての機能検証には至らなかったが、高分子膜のナノ孔を形成し、分離対象との相互作用部位にもなる親水性官能基や、分子の基本構造を大きく変えた重合性液晶分子の合成と液晶化、ナノ構造高分子膜の作製に成功し、さらに透水性高分子膜の作製、機能評価などを行った。得られた分子から作製した高分子膜は、分子設計時に期待した透水性の向上などを達成している。またそれぞれの論文化を進め、2024年度前半と中ごろの論文投稿を目指している。 したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に開発した透水性分離膜について、複合膜の構造評価などを進めながら論文化を行う。さらに相互作用部位と重合基を、刺激応答部位で結合した液晶分子の開発を進める。また、親水性チャネルと機能の相関関係を調べるために、チャネル径などを制御しながら変更した透水膜を作製し、物性を評価する。やこれまでの知見をもとに吸着膜の作製と機能評価を行う。相互作用部位は水酸基を中心に、官能基の種類やその集合構造、特にキラル構造の影響などを調べる
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