研究課題/領域番号 |
23K04857
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
今榮 一郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (90293399)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 熱電変換 / 導電性高分子 / カーボンナノチューブ / キャリア密度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、身の回りで利用されずに捨てられている大量の熱エネルギーを電気エネルギーとして回収する熱電変換技術に応用できる、安価で軽く、毒性が低く、フレキシブルでプリンタブルな有機熱電材料の開発を目指している。 しかし、現時点で開発されている有機熱電変換材料の性能は低く、実用化のためにはさらなる高性能化のための緻密な材料設計指針の確立が求められる。 そこで本研究では、実用可能な有機熱電変換材料の最有力候補として考えられている導電性高分子とカーボンナノチューブとの複合体において、複合体内に存在する電荷(キャリア)密度を定量・制御し、熱電特性との相関を解明し、熱電変換特性の最適化を目指す。
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研究実績の概要 |
一般に、熱電変換材料はキャリア密度が性能に大きな影響を与え、キャリア密度が高いと電気伝導度は高くなるが、ゼーベック係数が低くなり、熱伝導度が高くなるというトレードオフの関係があることが知られている。そのため、より高い性能を有する材料を開発するには、同じ物質系においてもキャリア密度を制御することによる熱電変換特性の最適化が必要不可欠である。 本研究では、これまで全く研究例の無かった導電性高分子とカーボンナノチューブとの複合体のキャリア密度の制御と定量を電気化学的手法によって行い、導電性高分子/カーボンナノチューブ複合体の熱電変換特性におけるキャリア密度依存性について解明することを目的としている。 本年度は、カーボンナノチューブと複合化するための様々な分子骨格を有する導電性高分子の合成を行い、それら単独での熱電特性を評価した。今回合成した導電性高分子は、側鎖にアルコキシ基を導入したポリチオフェンで、その側鎖アルコキシ基の導入率の異なる数種類のポリマーの合成に成功した。 申請者が独自に開発した電気化学的ドーピング手法によって、これらのポリマーにキャリア注入を行った。その結果、印加する電極電位によって、ポリマーに注入されるキャリア密度が系統的に変化するとともに、そのキャリア密度によって電気伝導度やゼーベック係数がドラスティックに変化することが分かった。また、酸化剤としてヘキサフルオロりん酸ニトロソニウムを用いた化学的ドーピングについても検討し、電気化学的ドーピングと化学的ドーピングのドーピング手法の違いが熱電特性に及ぼす効果についても調査した。その結果、ヘキサフルオロりん酸ニトロソニウムで化学的なドーピングを行った場合でも、ドープ時間によってキャリア密度を系統的に制御できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画1におけるキャリア密度制御について、CPs単独ではあるが実施し、熱電特性とキャリア密度との相関解析に成功している。 また、研究計画2において検討を予定している様々な分子骨格を有するCPsの合成に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
すでに様々な分子骨格を有するCPsの準備ができたので、次年度以降はいよいよCNTとの複合化を行う。複合化膜の組成をXPSで解析し、複合化方法の妥当性を検証する。 さらに複合化膜のドーピングを行い、キャリア密度と熱電特性との相関を解析する。
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