研究課題/領域番号 |
23K04868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
堺井 亮介 旭川工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90507196)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | D-アミノ酸 / 共役高分子 / キラル / センサ |
研究開始時の研究の概要 |
生命はL-アミノ酸をもっぱら利用し、その鏡像関係にあるD-アミノ酸は生体に無用なものと考えられてきた。しかし、近年、人間を含む生体内において様々なD-アミノ酸が確認され、むしろ様々な疾病におけるバイオマーカーとして利用できる可能性が見出されている。この様な臨床分析を迅速かつ簡便に行うためには、多検体のスクリーニングに利用できる比色分析技術の創出が必要である。そこで本研究では、共役高分子の優位性を活用し、D-アミノ酸に特異的な色調変化を示す高分子センサを創製する。さらに、その高分子センサを利用することでD-アミノ酸の定性および定量比色分析が可能であることを実証する。
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研究実績の概要 |
生命はL-アミノ酸をもっぱら利用し、その鏡像関係にあるD-アミノ酸は生体に無用なものと考えられてきた。しかし、近年、人間を含む生体内において様々なD-アミノ酸が確認され、むしろ様々な疾病におけるバイオマーカーとして利用できる可能性が見出されている。この様な臨床分析を迅速かつ簡便に行うためには、多検体のスクリーニングに利用できる比色分析技術の創出が必要である。そこで本研究では、共役高分子の優位性を活用し、D-アミノ酸に特異的な色調変化を示す高分子センサを創製する。さらに、その高分子センサを利用することでD-アミノ酸の定性および定量比色分析が可能であることを実証することを目的としている。 当該年度では、初めにD-アミノ酸の比色分析に適用可能な高分子センサの合成を目指した。具体的には、市販のキラルイソシアネートを出発原料に用いてモノマーを合成、重合し、キラルウレアレセプターを有するポリ(フェニルアセチレン)を合成した。得られた高分子センサにアミノ酸を加えると、そのキラリティーに依存した色調変化が観察された。例えば、D-セリン誘導体を添加した際には黄色から紫色への色調応答が瞬時に生じたが、L-セリン誘導体の場合は燈色への変化にとどまった。また、この高分子センサはD-およびL-セリン誘導体を任意の割合で混合したものに対しても組成に依存した色調応答を示した。従って、色調からD-セリンの光学純度を決定できることを見出した。さらに、色調変化を示した溶液を写真撮影し、その画像から色情報としてRGB値を取得することで、分析機器等を使用せず迅速かつ簡便にD-アミノ酸の組成を定量分析できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初達成を目指した、D-アミノ酸に対して特異な色調変化を示す共役高分子の合成に成功した。また、D-およびL-アミノ酸の混合物についても、色調からD-アミノ酸の組成を決定できることも示唆されている。さらに、分子設計と色調変化の関係性が明らかになりつつあり、D-アミノ酸センサの開発にとって有用な様々な知見が得られた。加えて、画像から色情報を取り出し、活用することで、分析機器等を使用せず迅速かつ簡便にD-アミノ酸の組成を定量分析できることを明らかにした。従って、本研究では当初の計画を十分に達成しており、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の目標としては、今年度得られた知見を共役高分子の分子設計にフィードバックし、高分子センサの最適化を図る。また、モデル化合物等を合成し、その色調変化を詳細に評価、比較することで、D-アミノ酸に選択的な色調変化のメカニズムを解明する。さらに、人口尿、人口唾液、および血清代替品などを用いて模擬検体を調整し、色調変化からD-アミノ酸の定量分析が可能であるか評価する。以上を通して、実際の使用条件においてもD-アミノ酸の比色分析が可能であることを実証する。
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