研究課題/領域番号 |
23K04870
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
牛丸 和乗 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (10770703)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ε-ポリ-L-リジン / カルボニル化合物 / バイオベース高分子 / ε-ポリリジン / アミノカルボニル反応 / シッフ塩基 / バイオベース材料 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、国産のバイオベース材料であるε-ポリ-L-リジン(ε-PL)のアミノ基とカルボニル化合物の反応を基軸として、“側鎖”修飾ε-PLと“末端”修飾ε-PLという二種類の新材料を創生する。 本材料は高い強度・耐水性と良好な成形性を持つバイオベース樹脂や、医薬品・医用材料の高機能化に有用なカチオン化修飾試薬としての利用が期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究では微生物が生産するカチオン性高分子であるε-ポリ-L-リジン(ε-PL)とカルボニル化合物の反応を基軸とした「ε-PL修飾技術の確立」、および得られた「修飾ε-PL由来の機能材料の創出」を目指す。 本年度は基盤技術となる「ε-PL修飾技術の確立」に向けた検討として、ε-PLと各種カルボニル化合物の反応性評価および得られた修飾体の基礎的な特性評価を進めた。アルデヒド類を主とする十数種類のカルボニル化合物とε-PLの反応性を種々の条件で評価したところ、多くのカルボニル化合物が室温下でも効率良くε-PLと反応することが確認できた。 得られた化合物を回収して乾燥させたところ、その外観はゲル状固体と脆い固体の二種類に大別された。用いたカルボニル化合物の化学構造を考慮すると、前者はε-PLのアミノ基とカルボニル化合物が反応した後に転移反応が生じて架橋が起こった、すなわちメイラード反応を介して架橋された化合物、後者はイミン結合の形成で反応が止まった化合物と考えられる。既報[K.Ushimaru, et.al., ACS omega, 4, 9756-9762 (2019)]にて報告している通り、前者のゲル状固体はε-PLをエラストマー様の材料として利用する上では有用だが、メイラード反応は複雑かつ制御困難な転移反応から成る反応であるため、ε-PLを狙った構造に修飾するという点では不適であった。一方で、後者のイミン結合で反応が止まったε-PL由来化合物は化学構造の制御がしやすく、ε-PL修飾の前駆体として適すると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標である「修飾ε-PL由来の機能材料の創出」に向けた基盤技術として、イミン結合で反応が止まった種々のε-PL由来誘導体を調製することができた。これら誘導体の調製法を検討する中で、本研究に適したカルボニル化合物の化学構造に関する知見を得ることができたため、現時点では順調に研究が進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度に調製法を確立したイミン化ε-PL誘導体の詳細な化学構造・物性評価も進める。化学構造や基礎的な物性が確認でき次第、当該誘導体を原料として二種類の機能材料(樹脂様材料および機能性分子)の創出を進める。
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