研究課題/領域番号 |
23K04897
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
鶴岡 孝章 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (20550239)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 金属有機構造体 / 混合マトリクス膜 / 薄膜 / 自己組織化 / ガス分離 |
研究開始時の研究の概要 |
ガス分離・回収は極めて重要な技術の一つであり、現行技術ではエネルギー消費量が甚大なため、代替技術の開発が求められている。本研究では、現行のガス分離法に変わる低コストかつ単純な手法の根幹を担うと期待される膜分離技術における混合マトリクス膜(Mixed-Matrix Membrane: MMM)作製法の開発を目的とする。この目的の達成により、例えばCO2削減などの世界全体が抱えるエネルギー・環境問題に対して貢献可能になる。
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研究実績の概要 |
本研究では、金属イオンをドープした高分子フィルムを用いて金属有機構造体(Metal-Organic Frameworks: MOFs)/高分子混合マトリクス膜を作製し、ガス分離膜へと展開することを目的としている。 令和5年度では主に核形成・核成長速度が形成するMOF結晶のサイズや密度に与える影響について検討した。配位子や結晶成長を促すモジュレーター濃度を制御し、核形成速度を増大させると結晶サイズが小さく、さらには結晶同士が融合することなく結晶間に空隙が形成されることが明らかとなった。一方、結晶成長が優先的になる反応系の場合、大きな結晶が疎に形成されることが分かった。これらの知見を基に適切な核形成・核成長速度反応系を構築し、MOF膜を作製したところ、結晶が融合した緻密なMOF膜が得られることが明らかとなった(Inoganics 2024, 12, 21)。 上記検討に加え、MOF前駆体を全て含有した高分子フィルムを用いた混合マトリクス膜作製についても検討し、予備的段階ではあるが高分子フィルム内に一様にMOF結晶が形成されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、MOF/高分子混合マトリクス膜の作製法の確立を目指しており、初年度においてMOF形成過程の解析と得られる膜の微細構造と反応条件の相関を明らかにすることを目標に設定していた。 初年度を終えた現在のところ、反応条件によってMOF結晶のサイズ、密度、そして結晶形成する位置(膜表面、膜内部)を制御できることを明らかにするとともに、膜表面においてMOF連続膜を作製することに成功した。また、MOF前駆体含有高分子溶液を用いて膜内にMOF結晶が分布した混合マトリクス膜の作製にも成功した。 以上より、当初の計画通り順調に進展していること、また一歩前進した新たな知見を得ることにも成功していることから、「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では、金属イオン量を制御し、混合マトリクス膜内におけるMOF充填量を制御することを目的としている。現時点においてMOF充填量20wt%までならば膜内にMOFを均一に分散させることが可能な知見を得ているが、最終目標である30wt%は未知の領域である。そのためMOF充填量の増大を可能とする手法の開発が課題である。基本的には前駆体調整時に金属イオン量を増大させるというシンプルな手法を考えているが、市販の金属塩のみならず溶解性向上のため配位子制御を行う事で金属イオン含有量を増大させる予定である。また、高充填量実現のためこれまでPMDA-ODA型ポリイミドを中心に検討してきたが、高分子骨格についても検討をする予定である。
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