研究課題/領域番号 |
23K04903
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 嘉 東北大学, 工学研究科, 助手 (80964361)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 熱電発電材料 / コバルト酸化物 / 変位変調 |
研究開始時の研究の概要 |
多層ミスフィット型コバルト酸化物は高い熱電特性を示すことから実用化が期待されているが, 高温環境下で酸素欠損が生じ, 電気伝導率が低下することが課題である. 本研究では, 超空間群精密構造解析で得られた知見をもとに, 多層ミスフィット型コバルト酸化物の高温安定性の向上を目指す. また結晶配向性の定量評価を行い, 1000Kにおいて出力因子10×10-4W/mK2,熱伝導率1W/mKの高出力熱電材料を創製するための学理を究明する.
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研究実績の概要 |
多層ミスフィット型コバルト酸化物は高い熱電特性を示すことから実用化が期待されているが, 高温環境下で酸素欠損が生じ, 電気伝導率が低下することが課題である. 本研究では, 超空間群精密構造解析で得られた知見をもとに, 多層ミスフィット型コバルト酸化物の高温安定性の向上を目指した. 高い熱電特性を示す多層ミスフィット型コバルト酸化物のうち, Co-121および(Co,Cu)-221について合成を行い, 結晶構造をエックス線回折装置を用いて解析した. また, 放電プラズマ焼結装置を用いた高密度焼結体を作製した. 高分解能電子顕微鏡(SEM)による断面形状の観察およびエックス線回折測定により高密度焼結体は異方性を示すことがわかり, その異方性を考慮した熱電特性を測定した. 高温での熱安定性を熱電特性の測定より確認することができ, 1000Kにおいて出力因子10×10-4W/mK2を達成しなかった, 900Kの高温で高い熱電特性を得ることが分かった. また放電プラズマ焼結を用いない焼結体においては熱伝導率1W/mKを達成した. これらの成果を, 19th European Conference on Thermoelectrics (ECT2023) およびMRM-IUMRS2023にて発表した. また, ECT2023によって発表された成果を, Solid state Sciences(査読中)に投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸素ガスを流入できる横型管状電気炉を構築し, 固相反応法を用いてCo-121および(Co,Cu)-221を作製した. 続いて, エックス線回折装置を用いて得られた回折パターンについて, Jana2006を用いた超空間群精密構造解析を行い, 格子定数の変化を確認した. また, 放電プラズマ焼結装置を用いて試料の高密度化をおこない, 高密度焼結体を作製した。高分解能電子顕微鏡(SEM)による断面形状の観察およびエックス線回折装置を用いて試料の結晶配向性を確認し, 異方性に配慮した熱電特性を測定した. 900Kでの高温域において, 高い熱電特性を再現性良く示すことがわかり, 熱安定性が明らかになった.
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今後の研究の推進方策 |
【令和6年度】作製した多層ミスフィット型コバルト酸化物について, 結晶構造の温度変化を確認できる高温エックス線回折および中性子回折(日本原子力機構)を実施する. 実験で得られた回折パターンについて, Jana2006を用いた超空間群精密構造解析を行い, 格子定数の変化, 岩塩層中の酸素欠損の状態および(Co, Cu)-O結合の変位変調について調査する. また示差熱分析を用いて酸素欠損量および試料分解温度を測定する. 超空間群精密構造解析の結果をふまえながら, 岩塩層の層数, (Co, Cu)-O結合の変位変調と酸素欠損量を比較して, 熱安定性の相関を明らかにする. 【令和6~7年度】多層ミスフィット型コバルト酸化物の高密度焼結体について、ロッキングカーブを測定し, 配向性を半値幅で定量的に比較する. また, 高密度の高配向試料を目指しゾルゲル法を用いて(Co, Cu)-221の薄片状の単結晶試料を作製し,それらを積み重ねて放電プラズマ焼結法を用いて加圧焼結することで, 高密度の高配向試料を得る. 作製した高配向試料を, 低速ブレード切断機で切断し, 高分解能電子顕微鏡(研究施設内共通分析機器)を用いて試料の断面形状を観察して高配向性を確認する. また, 高配向試料の加圧面にX線を照射して回折パターンを取得し, 配向性を確認する. 00x0 ピークの強度比の比較を行う. またロッキングカーブを測定し, 配向性を半値幅で定量的に比較する. 超空間群精密構造解析については清水(研究代表者)および宮﨑讓 応用物理学専攻教授(研究協力者)が, 他課題については清水が担当する.
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