研究課題/領域番号 |
23K04931
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
稲葉 央 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (00778011)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 微小管 / チューブリン / ペプチド / Tau由来ペプチド / 超構造体 / ナノマテリアル / アクティブマター |
研究開始時の研究の概要 |
細胞骨格の一種である微小管は、一巻きのシングレット構造だけでなく、複雑な超構造体を形成して生体内で固有の機能を発揮している。これら微小管超構造体を人工的に作り分けることができれば、その意義の理解やナノ材料としての応用が期待できる。これまでに、微小管内部に結合するTau由来ペプチド(TP)を融合したタンパク質の微小管外部への結合により、ダブレット構造や分岐構造などの微小管超構造体を構築することに成功している。しかし、その作り分けは困難であった。本研究では、TPを基盤とした設計により微小管外部に結合する新規分子を開発し、微小管超構造体の作り分けと物性解析、ナノ材料への応用を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、微小管内部に結合するTau由来ペプチド(TP)を微小管外部に提示することで、微小管が2つ連なったダブレット構造や分岐構造などの複雑な微小管超構造体を構築し、ナノ材料開発へと応用することを目的としている。本年度は、主に微小管外部に結合するペプチドを用いて微小管超構造体の構築を試みた。 微小管外部に結合することが知られているLys-Alaの7回繰り返し配列(KA7)にTPを連結したKA7-TPをFmoc固相法により合成した。また、N末端に赤色蛍光色素tetramethylrhodamine(TMR)を修飾したTMR-KA7-TPも合成した。緑色蛍光色素AF488でラベルしたチューブリンを用いて作製した微小管へのTMR-KA7-TPの結合が蛍光顕微鏡観察により確認された。また、SubtilisinによってチューブリンのC末端領域(微小管外部に相当)を切断した微小管に対してTMR-KA7-TPの結合量が減少したことから、TMR-KA7-TPが主に微小管外部に結合することが明らかとなった。 TMRでラベルした微小管に対しKA7-TPを複合化し、さらにAF488でラベルしたチューブリンを加え重合させたところ、TMRとAF488の蛍光の共局在が見られ、微小管超構造体の形成が示唆された。このような共局在はKA7-TPなしやKA7のみ、TPのみでは見られなかったことから、KA7とTPを連結したKA7-TPの構造が重要であると考えられる。透過型電子顕微鏡により上記構造体の詳細な観察を行ったところ、微小管が多数連なったバンドル構造に加え、直径25 nm程度の微小管の外部に直径15 nm程度の微小管が連なったダブレット構造と思われる構造体が確認された。以上より、微小管外部結合ペプチドKA7にTPを連結することで、ダブレット微小管を含む微小管超構造体の構築に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではTPを基盤とした微小管超構造体の構築と応用を目的としている。当該年度は研究実施計画通りに実施し、KA7を用いたTPの微小管外部への提示による微小管超構造体の構築に成功した。ペプチドの配列によって得られる構造体が変わることも見出しており、今後超構造体の構造制御のための重要な知見が得られたことから、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に得られた知見をもとに、KA7-TPにより構築した微小管のより詳細な構造解析を進める。また、キネシン固定基板における運動解析を推進する。当初の計画通り、別の手法としてキネシンを用いた微小管超構造体の構築を進めるとともに、微小管への分子連結による多様な超構造体の構築を目指す。
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