研究課題/領域番号 |
23K04934
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
浦田 秀仁 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (80211085)
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研究分担者 |
林 淳祐 大阪医科薬科大学, 薬学部, 助教 (30740295)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | siRNA / プロドラッグ型核酸 / 第二世代 / 還元環境応答型 / ジスルフィド / 無臭性チオール / プロドラッグ型RNA / 還元環境応答性 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者が開発した還元的環境に応答して活性化するプロドラッグ型siRNA (REDUCT siRNA) さらに発展させるべく、第二世代REDUCT siRNAの開発に取り組む。具体的には、合成上の課題となる有臭性メルカプタンの使用の回避、オリゴヌクレオチド合成後修飾法によらない、直接合成が可能な安定アミダイトの開発を行う。合成した安定アミダイトを用いて、全残基修飾が可能かも含めた合成検討を行い、第二世代REDUCT siRNAを合成し、各種の機能評価を行う。また、長鎖アルキル部分を蛍光標識したREDUCT siRNAを合成し、細胞内でのプロドラッグ活性化を可視化し観察する。
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研究実績の概要 |
代表者が開発した還元的環境に応答して活性化するプロドラッグ型siRNA (REDUCT siRNA) をさらに発展させるべく、代表者が開発したオリゴ合成後修飾法ではなく、修飾アミダイトを用いて直接合成可能な第二世代REDUCT siRNAの開発に取り組んでいる。具体的には下記の2つの戦略で、第二世代REDUCT siRNAの合成の前段階として、その合成を可能にするモノマーユニットの合成を検討している。 1) 長鎖チオールを用いた2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドの合成 合成過程での硫黄臭の低減を図りつつ、上述の直接合成を達成する目的で、市販されている長鎖アルキル基を有する1-ドデカンチオールを用いて2'-O-ドデシルジチオメチルウリジンを合成した。今後、アミダイト体への変換を検討する予定である。この新たに設計した第二世代REDUCT核酸は合成過程の硫黄臭の低減とともに脂溶性を高めた構造で、高い細胞移行能が期待できる分子である。 2)官能性修飾基を有するチオールを用いた2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドの合成 1)とは別に、プロドラッグ修飾基の程良い極性と官能基化が可能となる無臭性チオールを設計し合成に取り組んでいる。カルバモイル基を主鎖に有するチオールを合成し、2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドへの導入を検討している。この方法では第一級から第三級までのチオール修飾基の合成が可能であり、現在第一級のチオール修飾基については合成が完了している。今後、第二級及び第三級のチオール修飾基についても合成を進めるとともに、合成できた第一級チオール修飾基の2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドへの変換を進めている。本方法により、プロドラッグ修飾基の蛍光標識化が可能になり、細胞内でのプロドラッグ活性化の可視化が可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」でも記載したように、第二世代REDUCT siRNAの設計にあたり、1)市販の長鎖チオールを用いて、鍵化合物となる2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドの合成が比較的容易に達成できる合成戦略を用いながら、2)同時に適度な極性を有する修飾基を有するチオールを設計・合成する戦略も同時並行で進めている。 ここまで、いずれも合成ルートの変更を要するような問題もなく、1)では2'-O-ドデシルジチオメチルウリジンの合成に成功している。今後、この2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドのアミダイト体への変換反応の検討を行うとともに、これが十分な安定性を保持しない場合は市販の長鎖第二級アルコールから対応するチオールを合成し、同様の検討を進めていく予定である。 2)では、アクリル酸とチオ安息香酸とのMichael型付加によりベンゾイルチオプロピオン酸を合成し、このカルボン酸を適切なアミンと反応させアミド化したのち、ベンゾイル基を加水分解し、第一級チオールを得ている。現在までに得ているカルバモイル基を有する第一級チオールをヌクレオシドへ導入し、2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドの合成を達成している。今後、アミダイト体への変換を検討していくが、1)と同様、第一級のチオール由来の2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドのアミダイト体が不安定であることも予想されるため、第二級及び第三級チオールの合成も進めていく。また本法は、プロドラッグ修飾基に官能性側鎖の導入が可能である。Click chemistryの足場となるアルキンの導入により蛍光標識したプロドラッグ型siRNAの合成も可能となるスキームを採用しており、第二世代REDUCT siRNA開発研究の応用として本プロドラッグの細胞内での活性化機構に関しての検討が可能になると位置付けている。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」でも記載したように、これまで合成が達成できている2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドは、1)、2)いずれの場合も第一級チオールを用いたものであり、上述のように2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドをアミダイト体とした際に3価のリン原子とジスルフィドの間での分子内反応により分解を引き起こす可能性が想定として考えられる。そのため、並行して第二級や第三級のチオールをベースにしたプロドラッグ修飾基の合成を進めていく。 1)では第二級の長鎖アルキルチオールの合成を検討している。長鎖第二級チオールは入手困難なため、対応する市販の第二級アルコールを原料とし、Appel反応でハロゲノ体とし、これをチオウレア法により第二級チオールへ変換し、これをヌクレオシドに導入し2'-O-アルキルジチオメチル体とすることを計画している。長鎖アルキル基は疎水性を高め、RNAの膜親和性を向上させる点では長所となるが、多置換の長鎖アルキル修飾を行うとRNAの水溶性が低下し取り扱いが困難になることも予想されるため2)の戦略も並行して進めている。 2)の方法は、アクリル酸の代わりにクロトン酸、または3-メチルクロトン酸を用いることで、第二級及び第三級のチオールの合成が可能と考えている。第一級チオールで合成した2'-O-アルキルジチオメチル修飾ヌクレオシドのアミダイト体が不安定であることも予想されるため、第二級及び第三級チオールの合成も進めている。また、Michael型付加で得られるカルボン酸とアルキン側鎖を持つアミンとの反応でプロドラッグ修飾基末端にアルキンを導入できるため、本プロドラッグの細胞内での活性化機構の検討に向けて進めて行く予定にしている。
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