| 研究課題/領域番号 |
23K04941
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| 研究種目 |
基盤研究(C)
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| 配分区分 | 基金 |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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| 研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
稲垣 穣 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20242935)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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| キーワード | bacteriophage phiX174 / spike H protein / C-terminal Half Protein / lipopolysaccharide / Esherichia coli / Salmonella / binding / NMR / E. coli / interaction / Stern Volmer Parameter / fluorometric titration / recognition |
| 研究開始時の研究の概要 |
φX174は,大腸菌などのグラム陰性菌の表層のリポ多糖(LPS)を認識して感染する。LPSとファージタンパク質との認識を精密に解明するため,NMRにより相互作用を解析する。糖鎖に13C標識を行い,ファージのスパイクタンパク質を添加して相互作用を追跡する。同位体標識の信号を活用して一次元や二次元NMRや,タンパク質にエネルギーを照射して飽和させ,結合している糖鎖部分にエネルギーが移行して信号が変化することを追跡する,また,飽和移動差NMR 測定を行って,糖残基の認識における寄与を解析する。カプシドFタンパク質のアミノ酸残基変異体を用いて,選択性が変化する理由の解明も検討する。
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| 研究実績の概要 |
小型の正二十面体ウイルスバクテリオファージφX174はの感染機構の解明研究として,令和6年度は,ファージのスパイクHタンパク質の345残基のアミノ酸の内,後半の197番目から328番目のC末端までの部分構造をヒスチジンタグ融合タンパク質HCTD(15 kDa)として組み替え大腸菌によって発現させ,SDS-PAGEで単一バンドになるまで精製した。HCTDは,円偏光二色性スペクトルにより,αヘリックス構造を持つタンパク質であることが分かり,ファージの宿主菌である,大腸菌C株,サルモネラ菌TV119株,および非宿主菌の大腸菌K-12 W3110株由来のリポ多糖(LPS)を次第に濃度を高めながら添加して,蛍光スペクトルを測定したところ,HCTDは,3種類のLPSと解離定数にしてμMオーダーで相互作用して,HCTDのトリプトファン残基とLPSは疎水性相互作用をすることが明らかになった。 その際に,宿主菌である大腸菌C株とHCTDの親和性を100%とすると,同じく宿主菌サルモネラ菌TV119株のLPSが41%。そして非宿主菌の大腸菌K-12 W3110株LPSで22%と弱くなることが分かった。これは,HCTDタンパク質が宿主菌のLPSと相互作用し,かつ宿主の選択性にも寄与していると考えることができる。また,円偏光二色性スペクトルにおいてもHCTDは,大腸菌C株LPSの共存下でαヘリックスに由来する信号が増強することがわかり,LPSとの相互作用によって立体構造が変わることが分かった。LPSは水に対する溶解性が低いため,アルカリ処理によって脂肪酸部分を切断して,糖鎖部分を取り出した脱アシルLPS (deacyl LPS)を調製し,HCTDタンパク質の共存下で核磁気共鳴スペクトルを測定したところ,一部のアノメリック水素の信号の化学シフトの移動が認められた。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
1: 当初の計画以上に進展している
理由
バクテリオファージφX174の宿主認識に関連することが生化学的に証明されているスパイクHタンパク質のアミノ酸配列のなかで後半193番目から328番目にあたるタンパク質を発現・精製することができた。さらに,HCTDタンパク質は,ファージの宿主菌のLPSと相互作用することがわかり,結合定数は,2.77±0.21 μMと強いことが分かった。円偏光二色性スペクトルを測定することで,HCTDタンパク質は,LPSの共存かで立体構造が変わることがわかり,これは,Hタンパク質全長328残基の使っての以前の研究をトレースできており,より小さい後半分タンパク質でもHタンパク質全長での解析に代わるものと判断することができた。さらに,LPSの糖鎖部分を取り出して,核磁気共鳴スペクトルに置いて,HCTDタンパク質の添加により,糖鎖の1H信号の化学シフトが移動することが観察された。
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| 今後の研究の推進方策 |
本園度において,HCTDタンパク質とLPS糖鎖部分の相互作用をNMRで予備的に観察することに成功した。これは,HCTDタンパク質が,Hタンパク質全長よりも短くて分子量が小さいため,NMR測定において,より高濃度のタンパク質を試験管内に添加できることが功をそうしたと思われる。そこで,次年度は,LPS糖鎖部分に13C標識を取り込ませた糖鎖を作製し,いよいよ13C-NMRの測定を行って,HCTDタンパク質のLPS認識についてのさらなる解析に取り組む。 また,HCTDタンパク質が宿主菌由来のLPSとの相互作用により蛍光強度の変化と最大蛍光波長の短波長シフトが認められた,これは,HCTDタンパク質に2カ所含まれるトリプトファン残基の動きを反映していることが分かる。そこで,次年度は,HCTDタンパク質のトリプトファン残基を点変異により1つずつ置換したタンパク質を作ってLPSとの相互作用を解析することにより,2つのトリプトファン残基のそれぞれの相互作用における役割を分離して解明することができる考えている。
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