研究課題/領域番号 |
23K04944
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
神鳥 成弘 香川大学, 医学部, 教授 (00262246)
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研究分担者 |
玉井 栄治 松山大学, 薬学部, 教授 (40333512)
野中 康宏 香川大学, 医学部, 助教 (50569217)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | X線結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡単粒子解析 / Clostridium perfringens / 線毛 / コラーゲン結合タンパク質 / コンホメーション変化 |
研究開始時の研究の概要 |
病原性ウェルシュ菌は細胞表面に線毛を持つ。線毛は,2種類のPilinタンパク質(CppAとCppB)からなり,先端に1分子のCppBが位置し,続いてCppAが重合してシャフト部を形成した高分子量の繊維状タンパク質である。宿主細胞への感染に際しては,先端部CppBが宿主細胞表面のコラーゲンに接着する。本研究では,CppA,CppBから構成される複合体の立体構造をX線結晶解析とクライオ電子顕微鏡単粒子解析により決定し,線毛全体の動的立体構造モデルの構築,線毛の宿主細胞への接着機構の解明,線毛の重合形成機構の解明を行う。
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研究実績の概要 |
病原性細菌ウェルシュ菌は,細菌表面から外側に長く突き出た線毛を持っている。線毛は,2種類のPiliタンパク質(CppA,CppB)がクラスC Sortase(SrtC,細胞壁内酵素)の触媒作用により重合したもので,先端に1分子のCppBが位置し,それに続いて3~20分子以上のCppAが重合してシャフト部を形成した高分子量の繊維状タンパク質である。宿主細胞への感染に際しては,先端部CppBが宿主細胞表面のコラーゲンに接着すると考えられている。本研究の目的は,X線結晶解析とクライオ電子顕微鏡単粒子解析の手法を用いて,①線毛全体の動的立体構造モデルの構築,②線毛の宿主細胞への接着機構の解明,③線毛のSrtCによる重合反応機構の解明を行い,線毛の構造・機能・形成を分子レベルで理解することである。 2023年度の研究成果は以下の通りである。①線毛全体の立体構造モデルを得るため,1分子のCppBと1分子のCppAからなる共有結合複合体を調製し,結晶化および3.3Å分解能X線データの取得に成功し,現在構造解析を進めている。また,この複合体のクライオ電顕解析を試みたところ,CppA部分についてのみ4Å分解能で構造解析に成功した。このことは,CppB部分は,いくつかのコンホメーションをとっている可能性を示唆している。②線毛の宿主細胞への接着機構を解明するために,前年度までに行ったCppBコラーゲン結合部位のX線結晶解析およびコラーゲン複合体のモデリングについて,論文誌に発表した(FEBS Letters doi:10.1002/1873-3468.14626)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最も重要な目的である,線毛全体の立体構造モデルの構築に向け,当初の計画通り,先端部CppBとシャフト部CppAからなる共有結合複合体の調製,精製,結晶化,X線データの取得,クライオ電顕のデータ収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
クライオ電顕の単粒子解析から,CppB・CppA共有結合複合体は,いくつかのコンホメーションをとっていることが示唆された。今後,まず,CppB・CppA共有結合複合体のX線結晶解析を成功させ得られた立体構造モデルを用いて,クライオ電顕解析を行い,線毛の動的な立体構造モデルの構築を行っていきたい。また,線毛のSrtCによる重合反応機構の解明のため,等温滴定カロリメトリーの手法を用いて,CppBおよびCppAに対するSrtCの親和性の違いを測定することを試みる。
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