• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

糖鎖シャペロンの活性発現機構と普遍性を探る

研究課題

研究課題/領域番号 23K04955
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分37020:生物分子化学関連
研究機関公益財団法人サントリー生命科学財団

研究代表者

藤川 紘樹  公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・構造生命科学研究部, 研究員 (50755874)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード膜タンパク質膜挿入 / シャペロン様活性 / 糖脂質 / 糖鎖シャペロン
研究開始時の研究の概要

MPIase(Membrane Protein Integrase)は大腸菌の内膜から同定された新規の糖脂質で、膜タンパク質の膜挿入活性をもつ。我々は、膜挿入過程に先駆け、MPIaseの糖鎖部が疎水性タンパク質の凝集を抑制するシャペロン様活性をもつことを見出した。本研究では、疎水性タンパク質の凝集を抑制する“糖鎖シャペロン”の普遍性を探り、MPIase類縁体をはじめ様々な糖鎖のシャペロン様活性発現機構を明らかにする事を目的とする。

研究実績の概要

MPIaseのタンパク質凝集抑制(シャペロン様)活性の解明を目的として、各種のMPIase類縁体の設計・合成に取り組んだ。
シャペロン様活性機構の解明に有用な蛍光MPIaseの合成では、これまで3糖ピロリン脂質に蛍光基を導入することで、膜タンパク質膜挿入活性が消失し、苦戦を強いられていたが、今回6糖ピロリン脂質にリンカーを介して、蛍光基を導入したところ、初めて活性を保持した蛍光mini-MPIaseの合成を達成する事ができた。MPIase本来の活性を保持した蛍光体が得られた事は大きな前進であった。一方、糖鎖と蛍光基を繋ぐリンカーにエステル結合を採用していたため、合成途中において、一部蛍光基の脱離が確認された。
本結果を踏まえ、より安定な蛍光mini-MPIaseの合成に向けて、リンカー部をエーテル結合で繋いだ化合物を設計し、合成を開始した。原料となる3糖中間体の大量合成では、適切に保護されたフコサミンドナー、グルコースドナー、グルコサミンアクセプターをそれぞれ調製し、還元末端の2糖(Glc-GlcNAc)の合成から実施した。得られた2糖保護体をアクセプターへと誘導し、フコサミンドナーと縮合する事で、3糖骨格を得た。この後、この3糖中間体を3糖アクセプターと3糖ドナーへと誘導し、3糖+3糖で6糖の合成を行う。6糖に対して、様々なリンカーや蛍光基の導入を検討し、よりMPIaseの本来の性質(活性、膜上挙動など)を保った蛍光mini-MPIaseの合成を達成する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MPIaseのタンパク質凝集抑制(シャペロン様)活性の解明を目的として、各種のMPIase類縁体の設計・合成に取り組んだ。
シャペロン様活性機構の解明に有用な蛍光MPIaseの合成では、蛍光基の影響を緩和する目的で、これまでの3糖よりも長い6糖の糖鎖を選択し、蛍光標識化を実施した。これまでに確立した3糖中間体を3糖ドナーと3糖アクセプターに誘導し、3糖+3糖で6糖を構築した。得られた6糖の非還元末端側フコサミンの3位にリンカーを導入し、リン脂質と結合後、脱保護を行い、蛍光基を導入した。HPLCで精製した蛍光mini-MPIase-6を膜タンパク質膜挿入活性試験に供したところ、蛍光mini-MPIaseとしては初めて有意な活性を確認することができた。
今後は蛍光基やリンカーを検討し、より本来のMPIaseの性質を保った類縁体の獲得を目指す予定である。

今後の研究の推進方策

シャペロン様活性機構の解明に向けて、蛍光mini-MPIaseの合成を行い、蛍光mini-MPIase-6の合成を達成できた。本化合物に有意な膜タンパク質膜挿入活性が見られた事から、MPIase本来の性質を保っている事が示唆された。しかしながら、糖鎖と蛍光基を繋ぐリンカー部にエステル結合を採用していたため、合成途中において、一部分解が見られた。
今後は、より安定な蛍光mini-MPIaseの獲得を目的に、リンカー部をエーテル結合で繋いだ化合物の合成を行う。再合成に向けて、原料となる3糖中間体の大量合成を実施した。適切に保護されたフコサミンドナー、グルコースドナー、グルコサミンアクセプターを調製し、還元末端の2糖(Glc-GlcNAc)の合成を行った。得られた2糖保護体をアクセプターへと誘導し、フコサミンドナーと縮合する事で、3糖骨格を得た。今後、3糖+3糖を実施し、6糖を構築後、リンカーを結合する。その後、リン脂質を導入し、脱保護、および蛍光基の導入を行い、より安定な蛍光mini-MPIase-6を合成する予定である。また蛍光基もいくつか検討し、よりMPIase本来の性質に近い類縁体を合成する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Structures, functions, and syntheses of glycero-glycophospholipids2024

    • 著者名/発表者名
      Osawa Tsukiho、Fujikawa Kohki、Shimamoto Keiko
    • 雑誌名

      Frontiers in Chemistry

      巻: 12

    • DOI

      10.3389/fchem.2024.1353688

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification, Chemical Synthesis, and Sweetness Evaluation of Rhamnose or Xylose Containing Steviol Glycosides of Stevia (<i>Stevia rebaudiana</i>) Leaves2023

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Takehiro、Fujikawa Kohki、Urai Soichiro、Iwaki Kazunari、Hirai Tadayoshi、Miyagawa Katsuro、Uratani Hiroshi、Yamagaki Tohru、Nagao Koji、Yokoo Yoshiaki、Shimamoto Keiko
    • 雑誌名

      Journal of Agricultural and Food Chemistry

      巻: 71 号: 29 ページ: 11158-11169

    • DOI

      10.1021/acs.jafc.3c01753

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Structural Requirements of a Glycolipid MPIase for Membrane Protein Integration2023

    • 著者名/発表者名
      Kohki Fujikawa, Youjung Han, Tsukiho Osawa, Shoko Mori, Kaoru Nomura, Maki Muramoto, Ken-ichi Nishiyama, Keiko Shimamoto
    • 雑誌名

      Chemistry A European Journal

      巻: - 号: 30

    • DOI

      10.1002/chem.202300437

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification of a tomato UDP-arabinosyltransferase for airborne volatile reception2023

    • 著者名/発表者名
      Sugimoto Koichi et al.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 677-677

    • DOI

      10.1038/s41467-023-36381-8

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] キシロース含有高配糖化ステビオールの合成と甘味評価2024

    • 著者名/発表者名
      藤川、渡辺、浦井、岩城、平井、宮川、浦谷、山垣、長尾、横尾、島本
    • 学会等名
      第100回 日本農芸化学会2024年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 精密合成を起点とした糖鎖機能解明研究2023

    • 著者名/発表者名
      藤川紘樹
    • 学会等名
      第42回日本糖質学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖脂質MPIaseが司る大腸菌膜タンパク質膜挿入機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      藤川、Han、大澤、森、野村、西山、島本
    • 学会等名
      第17回年会 日本ケミカルバイオロジー学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 糖脂質がタンパク質を細胞膜に埋め込むしくみの解明

    • URL

      https://www.sunbor.or.jp/rd/theme/theme02/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi