研究課題/領域番号 |
23K04970
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
大坪 忠宗 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (30365879)
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研究分担者 |
高橋 忠伸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (20405145)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | シアリダーゼ / 蛍光プローブ / ウイルス特異的 / 蛍光組織染色 / インフルエンザ / 薬剤耐性 / インフルエンザウイルス / ノイラミニダーゼ / ムンプスウイルス / ヒトパラインフルエンザウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
シアリダーゼは、一部の病原性ウイルスが感染細胞から遊離する際に必須な酵素である。それ故に重要な創薬ターゲットの 1 つである。従って、シアリダーゼを持つ病原性ウイルス特異的なシアリダーゼプローブを開発することにより、病原性ウイルスの特定が可能となるだけではなく、抗インフルエンザウイルス薬とシアリダーゼプローブの組合せによって、耐性薬剤の同時判別も可能となると期待できる。本研究では、病原性ウイルスと感受性薬剤を同時に判別できる迅速診断キット開発の鍵となる複数のヒト病原性ウイルスそれぞれに対して特異的な蛍光シアリダーゼプローブの開発を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、これまでに開発したシアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)活性をもつ酵素全般を蛍光検出しつつ組織染色可能なプローブの糖部分を化学修飾する事によって特定ウイルス特異的なプローブの探索を行った。その結果、インフルエンザウイルスA型由来のノイラミニダーゼに特異的なプローブを複数見つけることができた。 これらプローブは、インフルエンザウイルスA型由来のノイラミニダーゼとは反応して、ウイルス感染細胞を蛍光組織染色できるが、その他のウイルス(ムンプスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス1型・3型)由来のノイラミニダーゼまたはヘマグルチニンノイラミニダーゼとは反応せず、感染細胞の染色もできなかった。 また、開発したインフルエンザウイルスA型ノイラミニダーゼ特異的プローブを用いて、オセルタミビル耐性インフルエンザウイルス検出を行った。具体的には、オセルタミビル耐性ウイルスと感受性ウイルスを感染させた細胞に、新規プローブをオセルタミビル共存下反応させたところ、薬剤耐性ウイルス感染細胞のみが蛍光組織染色された。以上により、本年度開発したプローブを用いて、薬剤耐性ウイルスを感染細胞レベルで検出することができた。 これらの結果は、出願した特許に反映し、学会報告を行った。 公表段階ではないが、一部誘導体は、インフルエンザウイルスのN1型とN2型に対して異なる反応性を示しており、インフルエンザウイルスの亜型を蛍光識別することが可能である予備的な結果を得ている。これら誘導体の構造の確定、識別能の解明を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インフルエンザウイルス特異的プローブ完成の目途がたっている。また、誘導体の一部は、NAの亜型(N1型とN2型)に対する反応性が異なる挙動を示している。これは、当初計画にはなかったインフルエンザウイルスの亜型を蛍光判別できる可能性を示唆しており、新たな方向性が明らかとなった。並行して、ムンプスウイルス由来のシアリダーゼに特異的な誘導体の開発も進めており、一部の化合物に選択性が示唆されている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、インフルエンザウイルスのN1型とN2型を識別できるプローブは、HPLCによる分離で得られている。しかし、これらは合成ルート、NMR、MSからジアステレオマーであることは確実である。これらジアステレオマーの安定な前駆体を一定量確保しつつ、X線結晶構造解析を含むスペクトル解析により構造確定を目指す。 合わせて、進行中のムンプスウイルス特異的プローブの最適化を行い、インフルエンザウイルス、ムンプスウイルスそれぞれに対して特異的なプローブの完成を目指す。
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