研究課題/領域番号 |
23K04985
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
手塚 武揚 北里大学, 感染制御科学府, 特任助教 (80646414)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 希少放線菌 / 胞子嚢 / 胞子 / 休眠 / 覚醒 / シグマ因子 / 二成分制御系 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、希少放線菌Actinoplanes missouriensisが形成する胞子嚢が休眠状態から覚醒し、栄養増殖に至る分子メカニズムの全容解明を目的としている。A. missouriensisの胞子が覚醒して栄養増殖を開始するまでには『胞子嚢開裂による放出』、『水中遊走による移動』、『運動の停止と発芽』という多段階の過程が存在する。それぞれの過程では、環境の変化を感知してそれを細胞内へ伝達し応答する機構が存在するはずである。その分子機構の解明は、休眠と覚醒という細胞の根本的現象の理解につながる重要な学術的知見である。
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研究実績の概要 |
本研究計画は希少放線菌Actinoplanes missouriensisが形成する胞子嚢を材料として、休眠細胞である胞子が外部環境の変化を感知して覚醒し、発芽に至る分子機構の解明を目的としている。具体的な研究課題として、(1) 胞子の休眠と覚醒を制御するシグマ/アンチシグマ制御系におけるシグマ因子の活性調節機構の解明、(2) シグマ因子の制御下で胞子の覚醒を抑制する二成分制御系の応答制御因子の標的因子の同定、(3) 胞子の覚醒時に当該応答制御因子の活性が抑制される分子機構の解明、の3点に焦点を当てている。(1) については、シグマ因子-アンチシグマ因子間においてリン酸化を介した相互作用の調節機構が報告されていることから、in silico解析によりアンチシグマ因子においてリン酸化修飾を受けると予想されるSer残基を推測し、変異導入による表現型への影響を解析したが、休眠胞子の覚醒に変化は見られなかった。(2) については、二成分制御系遺伝子の過剰発現株において休眠胞子の覚醒が顕著に抑制されることから、この過剰発現株を親株とするスクリーニングにより、休眠胞子が正常に覚醒する変異株の取得を行った。得られた変異株のゲノム解析を行って変異点を同定しており、今後、胞子の覚醒に寄与する変異が生じた遺伝子の特定を進める。(3) については、HiBiTタグを付加した応答制御因子生産株を作製し、本タグを利用して休眠胞子の覚醒前後における応答制御因子のタンパク質を解析したが、有意なタンパク質量の変化は観察されなかったことから、応答制御因子が分解されることで活性が抑制されるのではないことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題 (1) と (3) については解析を進めたものの、解析対象とするタンパク質の活性制御機構の解明には至っていない。一方で、研究課題 (2) については休眠胞子が正常に覚醒する変異株を複数取得し、それらの変異株のゲノム解析を完了したため、全体として本研究課題はおおむね順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題 (1) については、アンチシグマ因子の活性がリン酸化修飾により制御されていると予想したが、これを支持する実験結果は得られなかったため、今後はタンパク質分解による制御が存在する可能性を検討する。研究課題 (2) については、取得した変異株で同定された変異点の解析を進め、休眠胞子の覚醒に関与する遺伝子の同定と機能解析を進める。研究課題 (3) については、タンパク質分解による制御機構を支持する実験結果は得られなかったため、今後はリン酸化等の翻訳後修飾による応答制御因子の活性調節機構が存在するか、検討を行う。
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