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転写因子・酵素ドメイン融合タンパク質による酢酸応答機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K04986
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38020:応用微生物学関連
研究機関東京大学

研究代表者

吉田 彩子  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90633686)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードアセチルCoA合成酵素 / 転写制御 / Thermus thermophilus / 酢酸応答 / 代謝調節
研究開始時の研究の概要

アセチルCoAなどの短鎖アシルCoAは、生体内で起こる様々な化学反応に、基質や中間体として関与している。そのため様々な短鎖アシルCoAの合成に関わる酵素の機能や調節機構を理解することは、細胞内代謝の全体像の理解を目指す上で重要である。
高度好熱菌における複数のアシルCoA合成酵素ホモログには、本酵素ホモログには例を見ない転写因子との融合タンパク質が存在し、この融合タンパク質が酵素活性を持たないにもかかわらず酢酸資化に必須である。本研究では、好熱菌のアシルCoA合成酵素ホモログの機能解明や機能発現調節機構を通じて、炭素源への応答や脂肪酸代謝などの細胞内の代謝反応を理解することを目的とする。

研究実績の概要

研究対象としている高度好熱菌には4つのアセチルCoA合成酵素(ACS)ホモログ遺伝子が存在し、そのうちの一つは転写因子ドメインとの融合タンパク質(ACS2)である。これまでの解析からacs2遺伝子が酢酸資化に必須であることや、ACS2が直接的または間接的にアセチルCoA合成酵素遺伝子(acs1)発現を酢酸に応答して調節することが示唆されている。
acs1とacs2の遺伝子間領域へのACS2の転写因子ドメインの結合について、ゲルシフトアッセイにより調べたところ、DNAとタンパク質複合体の形成によるバンドシフトが観察された。ACS2が酢酸に応答してacs1遺伝子発現を調節している可能性があることから、酢酸の有無により転写因子ドメインとDNAとの親和性が変化するかも調査したが、顕著な違いは見られなかった。これはACS2の酵素としての機能は示さないACSドメインがリガンド結合ドメインとして機能してDNAへの結合能を調節していることを暗に示唆している。また、ACS2の転写因子ドメインおよびACSドメインの各ドメインをコードする遺伝子を欠失した部分破壊株を作製し、酢酸を単一炭素源とする培地にて生育を調べたところ、転写因子ドメインの欠損株だけでなくACSドメインの破壊株も生育を示さなかった。このことから、これら両ドメインがACS2の機能に必要であることが示唆され、この結果もACS2のACSドメインがリガンド結合ドメインとして機能することを支持するものであった。以上より、ACS2の転写因子としての機能へのACSドメインの関与が示唆され、今後はエフェクターの同定やエフェクターの有無による転写発現調節機構にフォーカスして研究を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ACS2の転写因子ドメインとacs1-acs2遺伝子間領域を含むDNAとの直接的な結合をゲルシフトアッセイにて検出することができ、ACS2がacs1遺伝子発現調節に直接的に関与する可能性を見出せた。また、ACS2の転写因子ドメインだけでなく、酵素としての機能は示さないACSドメインが、その酢酸資化能に必須であることを遺伝子破壊実験から示すことができ、ACSドメインがACS2の機能を調節するリガンド結合ドメインとして働くことが支持された。

今後の研究の推進方策

ACS2のACSドメインがリガンド結合ドメインとして機能し、何らかのエフェクター分子の結合に応答してACS2とDNAとの結合親和性を変化させることが示唆された。これまではACS2の転写因子ドメインを用いてゲルシフトアッセイを行ってきたが、全長のACS2を用いたゲルシフトアッセイを推定エフェクター分子の存在下、非存在下で行うことで、ACS2のDNA結合について解析を行うことでエフェクター分子の同定を行う。さらに、in vitro転写アッセイを組み合わせることでACS2によるacs1遺伝子発現調節機構を明らかにする。
また、ACS2の転写因子ドメインと同じファミリーに属し、単独でゲノム上にコードされている転写因子IclRについても、これまでにその破壊株および過剰発現株の作製が完了しているため、生育やacsホモログ遺伝子の発現調節への関わりを調べることで、本菌における酢酸応答機構解明の足掛かりとする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A bacterial sulfoglycosidase highlights mucin O-glycan breakdown in the gut ecosystem2023

    • 著者名/発表者名
      Katoh T, Yamada C, Wallace M, Yoshida A, Gotoh A, Arai M, Maeshibu T, Kashima T, Hagenbeek A, Ojima MN, Takada H, Sakanaka M, Shimizu H, Nishiyama K, Ashida H, Hirose J, Suarez-Diez M, Nishiyama M, Kimura I, Stubbs KA, Fushinobu S, Katayama T
    • 雑誌名

      Nature Chemical Biology

      巻: - 号: 6 ページ: 778-789

    • DOI

      10.1038/s41589-023-01272-y

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Protein-protein interaction-mediated regulation of lysine biosynthesis of <i>Thermus thermophilus</i> through the function-unknown protein LysV2023

    • 著者名/発表者名
      Morita Yutaro、Yoshida Ayako、Ye Siyan、Tomita Takeo、Yoshida Minoru、Kosono Saori、Nishiyama Makoto
    • 雑誌名

      The Journal of General and Applied Microbiology

      巻: 69 号: 2 ページ: 91-101

    • DOI

      10.2323/jgam.2023.06.003

    • ISSN
      0022-1260, 1349-8037
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Phosphorylation-mediated cofactor specificity switch in glutamate dehydrogenase from Schizosaccharomyces pombe2024

    • 著者名/発表者名
      Yifan Wang, Takeo Tomita, Ayako Yoshida, Saori Kosono, Makoto Nishiyama
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Cryo-EM構造で明らかになった活性制御タンパク質によるCoA転移酵素の調節機構2024

    • 著者名/発表者名
      吉田彩子, 宮田知子, 難波啓一, 西山真
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 高度好熱菌Thermus thermophilus由来転写因子・アセチルCoA合成酵素融合タンパク質の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      吉田彩子, 髙島慶一郎, Dong Xiao, 古園さおり, 西山真
    • 学会等名
      極限環境生物学会2023年度(第24回)年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Regulation of CoA transferase from Thermus thermophilus by a catalytically inactive alanine dehydrogenase-like protein2023

    • 著者名/発表者名
      Ayako Yoshida, Hiroyuki Yamamoto, Tomoko Miyata, Keiichi Namba, Takeo Tomita, Saori Kosono, Makoto Nishiyama
    • 学会等名
      International Workshop on “Neotechnologies for ThermusQ initiative”
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 東京大学大学院農学生命科学研究科附属アグロバイオテクノロジー研究センター細胞機能工学研究室

    • URL

      https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/cbt/index.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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