研究課題/領域番号 |
23K04992
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
竹中 慎治 神戸大学, 農学研究科, 教授 (40314512)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Aspergillus / 好乾性糸状菌 / 鰹節 / タンパク質分解酵素 / ペプチダーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
鰹節の製造には、かび付けと呼ばれる好乾性糸状菌群が共生して働く発酵熟成工程があり、ペプチダーゼは、タンパク質を分解して各種のアミノ酸を生成する鍵酵素であるが、鰹節の構成タンパク質の分解機構は不明である。本研究では、ペプチダーゼ群について、鰹肉分解様式を含めた触媒化学的諸性質および遺伝子の発現特性を調べ、培養物の呈味性を評価する。得られる科学的なデータは、高品質な鰹節の製造開発だけでなく、低水分活性下で働く加水分解酵素の耐性機構の解明や利活用への応用展開も期待される。
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研究実績の概要 |
鰹節の発酵熟成に関わる好乾性糸状菌の菌叢解析がなされ、優占種が明らかにされている。2023年度は、A. chevalieri、A. pseudoglaucusおよびA. sydowiiについてエンド型およびエキソ型ペプチダーゼの解析を進めた。それぞれの固体培養物から酵素活性を指標に、各種クロマトグラフィーによって酵素精製を進めた。その結果、A. chevalieriからは、アミノペプチダーゼ(1種)、ジペプチジルペプチダーゼ(2種)、カルボキシペプチダーゼ(1種)を同定した。A. pseudoglaucusからは、アミノペプチダーゼ1種、ジペプチジルペプチダーゼ1種を同定した。また、A. sydowiiからは、アミノペプチダーゼ(5種)、ジペプチジルペプチダーゼ(2種)、カルボキシペプチダーゼ(3種)、アスパルティックプロテアーゼや鰹肉タンパク質に対して分解活性を示す2種のセリンプロテアーゼtrypsin-like serine proteaseおよびelastinolytic serine proteaseを見出した。ペプチダーゼの生産に与える固体培地の水分活性の影響を調べた。総活性についてはアミノペプチダーゼが低水分活性下で活性が高まることが示唆された。また、触媒化学的諸性質を調べた結果、鰹節粉から抽出した鰹節タンパク質に対して高活性なペプチダーゼは、A. pseudoglaucus由来アミノペプチダーゼおよびA. sydowii由来trypsin-like serine proteaseであることがわかった。年度の後半より、遺伝子発現解析の準備および鰹節タンパク質に対して高活性な2種のペプチダーゼを中心にPichia酵母および麹菌による異種発現を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・研究対象とした鰹節カビから、ペプチダーゼ類を網羅的に同定することを完了した。 ・鰹節タンパク質とは、ミオシン重鎖尾部領域が鰹節の製造過程(煮熟・焙乾)でランダムに切断されたポリペプチド混合物であることを明らかにした。 ・同鰹節タンパク質の加水分解に寄与するペプチダーゼを特定することができた。 ・特定したペプチダーゼのうち、A. pseudoglaucus由来アミノペプチダーゼは、低水分活性下特異的に発現していることを見出した。 以上のことより、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
・鰹節カビが分泌するペプチダーゼ類の中から、低水分活性下で特異的に発現するペプチダーゼの特定を続ける。 ・同鰹節タンパク質の加水分解に寄与するA. pseudoglaucus由来アミノペプチダーゼおよびA. sydowii由来trypsin-like serine proteaseについて、天然タンパク質に対する触媒化学的諸性質を明らかにする。 ・そのために、異種発現系の構築および大量発現のための条件を検討する。
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