研究課題/領域番号 |
23K04996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
森田 鉄兵 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (10444366)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 転写後制御 / RNA結合タンパク質 / Cold-shock protein / 細菌 / 二次代謝遺伝子群 / Cold shock protein / 転写終結制御 / small RNA / 二次代謝産物 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌における二次代謝産物の合成は生合成酵素の遺伝子群の発現制御により調節されており、合成停止条件下ではRNAエレメントを介した早期転写終結による抑制が報告さている。応募者は、大腸菌において、RNA結合タンパク質CspDがRNAエレメントでの転写終結制御を破綻させることを見出した。本研究では、CspDよるRNAエレメント制御の破綻の分子機構を解明する。また、CspDが属するCold shock domain(CSD)タンパク質ファミリーの生物間での保存性を根拠として解析規模を細菌全般へと拡大し、CSDタンパク質を用いた二次代謝産物の合成誘導技術の開発基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
これまでに、RNA結合タンパク質であるCspDが、大腸菌における転写終結や早期転写終結を引き起こす制御を破綻させることを明らかにしていた。転写終結の制御はしばしば細菌の二次代謝遺伝子群の発現誘導に関与すると知られているため、CspDを含めたCSDファミリータンパク質(Csp)による二次代謝制御やその応用が考えられた。本研究では、技術開発の基盤にもなるCspDの作用機構を解明するために、大腸菌を用いて、CspD作用に必要なアミノ酸領域やRNA結合モチーフを明らかにすることを目指している。そして、得られた結果をもとに、細菌全般へと解析規模を拡大し、Cspを物質生産細菌で利用した技術開発の基盤につなげようとしている。 2023年度には、CspDの作用に必要なアミノ酸領域の同定を進め、これまでに、CspDのRNA結合モチーフの近傍に位置するループ領域が、標的RNAの認識特異性を決定していることを明らかにした。また、他の一部のCspでは、N末端領域に標的RNAの特異性の決定要素があることを示した。これらの結果をもとに、Cspの標的RNA認識の分子機構をその構造に基づいて考察した。そして、ループ領域やN末端領域のアミノ酸残基を利用することで、Cspの機能に基づく細分類が可能であることを示した。さらに、細菌界におけるCspの分布を情報学的解析により調べ、機能タイプごとの特徴的な分布を明らかにした。これらの成果は、原著論文として、現在投稿中である。また、成果の一部は、日本農芸化学会や日本RNA学会等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果の一部がすでに得られており、論文投稿に至っている。引き続き研究を進めることで、当初の目的以上の成果が見込める。
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今後の研究の推進方策 |
細菌界のCspの中には、標的RNAの特異性について不明なものが残っている。これらについて、変異解析と情報学的解析を組み合わせることで、タンパク質の成り立ちを明らかにする。また、標的RNA側の被制御モチーフを明らかにするために、免疫沈降法と組み合わせたRNA-Seq(RIP-Seq法)を実施する。すでに、さまざまな細菌に由来するCspやそれらの変異体の発現系を得ているため、これらを用いたRIP-Seq法により、タンパク質、標的RNAの両側から解析を進めることで、Csp作用の分子機構の解明につなげる。
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