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細菌の環境応答と増殖トレードオフに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K04998
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38020:応用微生物学関連
研究機関法政大学

研究代表者

山本 兼由  法政大学, 生命科学部, 教授 (40351580)

研究分担者 吉村 美歩  法政大学, 生命科学部, 助手 (40865820)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード細菌 / 大腸菌 / 適応増殖 / 環境応答 / ゲノム編集 / ゲノム機能発現
研究開始時の研究の概要

二成分制御系は原核生物特有な環境応答システムであり、リン酸リレーで情報伝達を行う。ほとんどの細菌は複数の二成分制御系をもつ。大腸菌は約30種類の二成分制御系をもつ。そのうち、大腸菌の増殖が3種類の主要二成分制御系のいずれか2つが必要な不確定エピスタティック現象であることを発見した。独自に開発したゲノム編集HoSeI法は、マーカー遺伝子が不要で、ゲノム上を複数編集できる。HoSeI法により、全二成分制御系をもたない大腸菌株を単離した。その環境応答システムをまったくもたない大腸菌株の細胞内代謝制御ネットワークを解析し、細菌の環境応答と増殖とにおけるエネルギートレードオフの理解を目指す。

研究実績の概要

細菌の増殖能と環境応答との関係を細胞内エネルギートレードオフで理解する目的で、独自に開発したゲノム編集HoSeI法で単離した環境応答システム二成分制御系をもたない多重ゲノム編集大腸菌株を用い2つの課題について研究を進めた。課題Aでは、二成分制御系センサーキナーゼ(SK)をもたない大腸菌ΔSK株は親株と同じ増殖能力を示すが、アミノ酸量とそれら代謝酵素量が高く、このΔSK株の増殖に貢献するアミノ酸代謝ネットワークを明らかにするため、ΔSK株におけるTraDIS解析を行い、ΔSK株における増殖に不要な遺伝子群を特定した。加えて、ΔRR株のみで活性が低下するプロモーターを探索した結果、SK非依存的に活性化するRRを少なくとも8種類同定した。課題Bでは、ΔRR株の低下する増殖に必須なRR遺伝子を同定し機能を明らかとするため、ΔRR株の増殖に対するストレス感受性を測定した。その結果、ΔRR株のみが長い誘導期を示す培養条件を特定した。これらの結果より、大腸菌の二成分制御系のレスポンスレギュレーターには、センサーキナーゼ以外から活性化シグナルを受けているものが存在することを明らかとした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題A:二成分制御系センサーキナーゼ(SK)をもたない大腸菌ΔSK株は親株と同じ増殖能力を示すが、アミノ酸量とそれら代謝酵素量が高い。このΔSK株の増殖に貢献するアミノ酸代謝ネットワークを明らかにするため、【実験1】ΔSK株におけるTraDIS解析を行い、【実験2】TraDIS解析から、ΔSK株における増殖に不要な約400遺伝子を特定した。加えて、【実験3】ΔRR株のみで活性が低下するプロモーターを探索した結果、SK非依存的に活性化するRRを少なくとも8種類同定した。
課題B:ΔRR株の低下する増殖に必須なRR遺伝子を同定し機能を明らかとするため、【実験1】ΔRR株は高浸透圧、酸性pH、金属キレーター、バンコマイシンに特異的な感受性を示す。さまざまなストレス条件におけるΔRR株増殖に対するストレス感受性を測定した。その結果、ΔRR株のみが長い誘導期を示す培養条件を特定した。

今後の研究の推進方策

課題A:ΔSK株の増殖に貢献するアミノ酸代謝ネットワークを明らかにするため行ったTraDISの解像度が低いため、今年度はマルチオミクス解析でアミノ酸代謝に関わる遺伝子群を推定し、分子遺伝学的に実証する予定である。また、同定した8種類のSK非依存的活性型RRに対し、【実験4】活性化に関わるシス因子およびトランス因子の特定を進める。これらの実験から、【実験5】の解析を目指す。
課題B:ΔRR株のみが長い誘導期を示す培養条件で、【実験2】ΔRR株を単離するまでに得られた多重RR遺伝子機能欠失株および【実験3】RR遺伝子発現クローンで形質転換させたΔRR株で増殖させ、長い誘導期の原因RRの同定を進める。解析の進行によっては【実験4】ΔSK株のΔRR株特異的ストレス感受性に必須なRR遺伝子をHoSeI法で遺伝子機能破壊させた株の取得および【実験5】ストレス環境下で増殖させたFLAGタグRR遺伝子発現ΔRR株を用い、ChIP-seq解析を行う準備を始める。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] HoSeI法による大腸菌ゲノムデザインとその金属資源化への応用2023

    • 著者名/発表者名
      山本兼由
    • 雑誌名

      月刊BIO INDUSTRY

      巻: 40 ページ: 32-28

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸菌センサーキナーゼBaeSから走化性制御因子CheYへのクロストーク2023

    • 著者名/発表者名
      武井陸,井芹友香,田島寛隆,山本兼由, 曽和義幸,西川正俊,川岸郁朗
    • 学会等名
      2023年度べん毛研究交流会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸菌Clpプロテアーゼの再増殖における機能と細胞内動態変化2023

    • 著者名/発表者名
      堀野寛佑輝,吉村美歩,保科真樹,吉種光,山本兼由
    • 学会等名
      第46回 日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] メタン生成アーキアの組換えプロテアソームの精製と生化学的性質の評価2023

    • 著者名/発表者名
      平原美幸,吉村美歩,山本兼由
    • 学会等名
      第21回 微生物研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] センサーキナーゼを必要としない代謝と連携したレスポンスレギュレーターの活性化2023

    • 著者名/発表者名
      平野元暉,三宅裕可里,菅原真悟,矢ヶ崎優,吉種光,吉村美歩,山本兼由
    • 学会等名
      第21回 微生物研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] センサーキナーゼを持たない大腸菌の増殖能の解析2023

    • 著者名/発表者名
      矢ヶ崎優,平野元暉,三宅裕可里,菅原真悟,吉村美歩,山本兼由
    • 学会等名
      第21回 微生物研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 大腸菌の生存と増殖における環境応答システムの役割2023

    • 著者名/発表者名
      山本兼由
    • 学会等名
      島根大学総合科学研究支援センター第393回 細胞工学研究会講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Characterization of Escherichia coli harboring no two component system genes2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Miyake , G. Hirano, S. Sugawara, Y. Yagasaki, H. Yoshitane, M. Yoshimura, K. Yamamoto
    • 学会等名
      10th Congress of European Microbiologists
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Physiological and Functional roles of Clp protease for re-growth of Escherichia coli2023

    • 著者名/発表者名
      M. Yoshimura, M. Hoshina, H. Horino, H. Yoshitane, K. Yamamoto
    • 学会等名
      10th Congress of European Microbiologists
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 二成分制御系におけるセンサーキナーゼを必要としない代謝と連携したレスポンスレギュレーターの活性化2023

    • 著者名/発表者名
      平野元暉,吉村美歩,山本兼由
    • 学会等名
      第19回 21世紀大腸菌研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 微生物機能を活用したレアメタル・貴金属リサイクル(第3編 第1章)2024

    • 著者名/発表者名
      山本兼由(分担執筆)
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      シーエムシー・リサーチ
    • ISBN
      9784910581507
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] ゲノム編集の最新技術と医薬品・遺伝子治療・農業・水畜産物・有用物質生産への活用(第4章 第3節)2023

    • 著者名/発表者名
      山本兼由(分担執筆)
    • 総ページ数
      605
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      9784861049781
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 法政大学学術データベース

    • URL

      https://kenkyu-web.hosei.ac.jp/Profiles/21/0002027/profile.html

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [産業財産権] 白金族金属を蓄積する微生物2023

    • 発明者名
      山本兼由,渡邊宏樹
    • 権利者名
      山本兼由,渡邊宏樹
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2022-565316
    • 出願年月日
      2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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