研究課題/領域番号 |
23K05001
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
三井 亮司 岡山理科大学, 生命科学部, 教授 (60319936)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | メチロトローフ / 植物共生微生物 / PQQ / 二成分制御系 / 植物生育促進微生物(PGPM) / メタノールデヒドロゲナーゼ / ランタノイド |
研究開始時の研究の概要 |
植物葉面で分泌されるメタノールを利用して共生するメチロトローフ細菌には、共生関係が構築されると植物の生育促進効果が見られることが報告されている。植物葉上環境をin vitroで再現して培養すると、土壌付近で培養した場合よりも特定の物質の分泌量が多くなる結果が得られている。圃場でのイネへの接種試験では増収効果も報告されるなど、応用面での農業活用が期待できる。さらに地球上のあらゆる植物の葉面で微生物と植物の化学物質のやりとり、いわゆる化学コミュニケーションが行われていることを考えられ、この現象を明らかにすることにより新たな微生物生態学的知見と応用微生物学的な農業応用の両面に寄与する知見となると考えられる。
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研究実績の概要 |
植物に共生するメチロトローフ細菌は植物から放出されるメタノールを炭素源およびエネルギー源として葉上で生育する。一方メチロトローフ細菌側からは植物ホルモンの他、葉面特異的にピロロキノリンキノン(PQQ)を分泌するPQQは。強いラジカル消去活性を持つち、植物が光合成にともない発生する活性酸素種を消去し、植物の生育を促進する微生物-植物間「化学コミュニケーション」のツールとなっていると考えられる。本研究ではメチロトローフ細菌が、植物体の中で形成されるランタノイド分布のグラデーションを感知して共生環境認識を行っているとの仮説に基づき、ランタノイドを感知する二成分制御系によって葉面特異的な化学コミ ュニケーションを行っていることを分子レベルで解明することが目的である。その役割を担うランタノイドに応答して代謝を切り替える司令塔的役割を果たす二成分制御系MxbDMのをターゲットとした。本年度においてはMxbDMの遺伝子を破壊した変異株を作製し、そのフェノタイプを調べた結果、ランタノイド型メタノールデヒドロゲナーゼXoxF5-1はランタノイドによる調節を喪失し、極端に発現量が増加したことからMxbDMが抑制的にXoxF5-1を制御していることが明らかになった。また、非ランタノイド型メタノールデヒドロゲナーゼMxaFIは発現が見られなくなった。このことからMxbDMはランタノイドの存在を認識してメタノールデヒドロゲナーゼの切替えを行っていることが明らかになった。また、同時に多くの遺伝子がMxbDMの制御を受けていることが考えられ、破壊株の発現量解析を網羅的に確認することで植物との共生に関わる因子が見いだせることが期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において中心となる二成分制御系MxbDMのマーカーレス破壊株を取得した。MxbDM遺伝子破壊株によるトランスクリプトーム解析についても実施し、そのデータを精査する段階にあり、その変異株のフェノタイプや下流遺伝子の特定が進みつつある。さらにそのリン酸化シグナルのリレーを検出するタグ付きMxbDMによる相補株も作製してその特性を検討中である。初年度としておおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中のMxbDMのシグナル下流にある遺伝子の発現解析を行う。具体的にはMxbDM遺伝子破壊株を用いて、野生株との比較によりメタノール生育時にアップレレギュレーションされるものダウンレギュレーションされるものに分類し、特徴的な遺伝子を洗い出す作業を行う。またMxbDMはMxbDのヒスチジンキナーゼとMxbMのDNA結合型発現調節因子であることから、ランタノイドの有無によるリン酸化リレーをPhos-tagやウエスタンブロット解析、およびバインディングアッセイなどを組み合わせて研究をすすめる。
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