研究課題
基盤研究(C)
本研究ではCNDEJ修復機構におけるDR0042の役割を明らかにするため、研究期間内に(1)遺伝子相補試験と細胞内局在性の解析、(2)タンパク質相互作用の解析、(3) ゲノム二本鎖切断修復過程の解析を行う。本研究によって、申請者が提唱した放射線抵抗性細菌に特有のCNDEJによるDNA修復機構の特徴を明らかにすることができる。また、DR0042のDNA修復タンパク質の機能制御に関する詳細な機能が明らかになれば、DNA修復完了後に複製過程に移行するための新しいDNA損傷チェックポイント機構の存在を示すことができる。
放射線抵抗性細菌Deinococcus radiodurans由来のMetallophosphoesteraseモチーフをもつ機能未知タンパク質DR0042のN末端に親水性マルトース結合タンパク質を融合させるための発現プラスミドを構築し、大腸菌での発現条件を検討した結果、大腸菌 BL21(DE3) Rosetta2株を宿主とし、20℃培養、600nmでの吸光度が1.5~1.8で1 mM IPTGを添加することで、水溶性上清画分に組換え融合タンパク質MBP-DR0042を大量に生産させることができた。また、MBP-DR0042をアミロースカラムで精製することにも成功した。この組換え融合タンパク質のN末端にはヒスチジンタグが付加されているため、コバルトカラムあるいはニッケルカラムを用いてさらに精製後、DNAとの反応性を解析する予定である。DNA末端保護機能を持つ放射線誘導性タンパク質DdrAをコードする遺伝子が欠失した菌株に、野生型のddrA遺伝子とその上流のプロモーター領域をシャトルベクターに組み込んだプラスミドを導入し、遺伝子相補株を作出した。ddrA遺伝子相補株の紫外線耐性は、野生株と同程度に回復した。一方、DdrAタンパク質間相互作用のインターフェースに存在し、真核生物におけるDdrAオルソログであるRad52タンパク質でも保存されている56番目のアミノ酸残基トリプトファンをアラニンに置換した変異タンパク質では、ddrA欠失株の紫外線感受性を相補することができなかった。このことから、DdrAタンパク質の機能発揮には、細胞内で多量体を形成することが必要であると示唆された。
2: おおむね順調に進展している
先行研究で不溶性画分でしか大量発現できなかったDR0042タンパク質を、水溶性の上清画分に大量発現させることができたことで、DR0042の機能解析の進展が期待される。
今後は、DR0042タンパク質とDNAとの相互作用、DdrA、DdrAP、DR0042の細胞内局在、パルスフィールドゲル電気泳動法を用いたdr0042欠失株のゲノム2本鎖切断修復の経時的変化の解析に注力する。
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QST Takasaki Annual Report 2022
巻: QST-M-47 ページ: 82-82
巻: QST-M-47 ページ: 83-83
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