研究課題/領域番号 |
23K05032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
平 大輔 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (00569890)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ナノ粒子 / エンカプスリン / タンパク質発現系 |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルスの外殻を形成するタンパク質などは、数十から数百という多くのタンパク質分子が自己集合して、数十から数百ナノメートルのタンパク質で出来た構造体を形成する。これらの構造体は、ドラッグデリバリーシステム等のカプセルとして応用が試みられている。一方、本申請課題は、エンカプスリンナノ粒子が荷物タンパク質を内包する機構を解明し、難発現タンパク質生産のためのカプセルとして、いわば「ナノ粒子ゆりかご」としての応用を目指すものである。
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研究実績の概要 |
エンカプスリンは細菌およびアーキアでみられる細胞内構造体であり、タンパク質分子が自己集合して形成されるナノ粒子である。これまでにホモ60、180、240量体のエンカプスリンが報告されており、粒子内部に特異的に別のタンパク質(荷物タンパク質)を内包する性質を有している。これまでの研究で、好熱菌由来のエンカプスリンを用いて、大腸菌を宿主とした通常の発現系では生産が困難な、いわゆる難発現タンパク質について、エンカプスリンに内包された荷物タンパク質として発現可能となる例を発見した。そこでエンカプスリンナノ粒子への難発現タンパク質内包機構の解明とそのタンパク質生産への応用を目的とし、以下のように研究を実施した。 (1)複数の難発現タンパク質を内包するエンカプスリンナノ粒子発現系の構築 難発現タンパク質の例として、宿主である大腸菌に対して毒性を示すことが報告されているプロテアーゼの発現系を構築した。また、大腸菌発現時に封入体を形成することが報告されているものとして、一本鎖抗体(抗体の抗原結合部位を構成する2つの可変領域のみをグリシンリンカーでつないだ人工的な融合タンパク質)とホスホリパーゼの発現系を構築した。これら難発現タンパク質について、エンカプスリンと共発現した際の発現量をSDS-PAGEで見積もった。結果として、発現した一本鎖抗体とホスホリパーゼの一部(10%程度)が、エンカプスリンと共精製できることが判明した。 (2)エンカプスリンナノ粒子内からの荷物タンパク質回収手法の確立 GFPを荷物タンパク質として共発現したエンカプスリンナノ粒子を用いて、粒子内部から荷物タンパク質を回収する条件を最適化した。また、プロテアーゼを作用させることで、エンカプスリンを切断しナノ粒子を破壊する方法についても、エンカプスリンに部位特異的変異を導入することで検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、複数種類の難発現性タンパク質とエンカプスリンとの大腸菌共発現系を構築し、その発現タンパク質の性状を検討することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
(1)複数の難発現タンパク質を内包するエンカプスリンナノ粒子発現系の構築 これまでに構築した発現系を用いて、内包可能なタンパク質のサイズや共発現が困難な難発現タンパク質の共通点を精査する。 (2)エンカプスリンナノ粒子内からの荷物タンパク質回収手法の確立 部位特異的変異を導入したエンカプスリンを用いて、その酵素切断条件・粒子破壊条件を最適化する。
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